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《大阪に残る“さいごの色街”》飛田新地に行った男の告白「日本に江戸時代が残っていた」「おねえさんは白い襦袢に着替えて……」

《大阪に残る“さいごの色街”》飛田新地に行った男の告白「日本に江戸時代が残っていた」「おねえさんは白い襦袢に着替えて……」

「さいごの色街 飛田」#1

2021/01/02
note

 以下、彼の言葉の要約である。

 靴を脱いで「料亭」に上がり、おねえさんに案内されて階段を上がって2階の部屋へ。

料亭内の写真 撮影/黒住周作

6畳~8畳くらいの和室。女性が白い襦袢に着替えて……

 部屋は6畳~8畳くらいの和室。雨戸が閉まっていて、午前中なのに薄暗い。敷き布団の上にミッキーマウスの絵柄のバスタオルが置いてあった。掛け布団はなく、ほかに室内にあったのは、ちゃぶ台と座布団2枚だけ。

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「ちょっと待っといてくださいね」

 と、おねえさんはいったん退室したが、すぐにお茶と煎餅を持って部屋に戻って来た。黄色いドレスから白い襦袢に着替えていた。さすがプロ、着替えるのが早いなぁと妙なことに感心する。

「20分か30分か、どちらにします?」

 とおねえさん。とっさに「20分」と答える。先輩から「20分、1万5000円」(当時)と予め聞いていたからだ。じゃあ、とおねえさんがすぐに目覚まし時計を20分後にセットしたのにはちょっと驚いた。

料亭内の個室 撮影/黒住周作

「よく来られるんですか」

「いえ、初めてです」

「大阪の人ですか」

「そうです」

「今日、お仕事は?」

「ええまあ」

 聞き上手だなぁと思った。緊張を少しずつほぐしてくれる。広島か九州か、語尾に訛りを感じたが、出身を聞くのはタブーと思ってやめた。自分より少し上っぽい年齢も聞きたいが、印象を悪くしたくないのでこれも口をつぐむ。こちらからも何か話しかけなければ。

「勤めて、もう長いんですか」

「いえ、知り合いの紹介で来て、半年くらいです」

 ぷつんと話が途切れる。沈黙。

「じゃあ、時間がないから始めましょうか」

 おねえさんは、にっこりとそう言って、やおら襦袢の前をはだけにかかる。

 あ、自分も脱がなければ。

「あの~、全部脱いでいいんですか」

と、へんてこな質問に、おねえさんは、

「はい、どうぞ」

 このあたりからは、さすがにこの人も話しづらそうな雰囲気になってきた。その後の行為とは、つまりそういうことだ。