スーパーが密集しているエリアのことをメディアは「スーパー激戦区」と呼びますが、買い物する側から見れば、そこは「スーパーマーケット天国」(スーパー天国)。そんな「スーパー天国」のひとつが、東京から電車で1時間、約21万人の暮らす横浜市都筑区に開かれた港北ニュータウンにあるのです。その核となるのは「タウンセンター地区」のセンター北駅とセンター南駅間の約1km。この2駅間のエリアに大手スーパーが林立しています。

赤丸箇所にスーパーが位置。地図に表示されていない周辺地域にも多くのスーパーが密集している。©OpenStreetMap contributors

 ここ港北ニュータウンと同じ1965年に計画が始まった大規模ニュータウン「多摩ニュータウン」には、定番のスーパーが数店点在する程度にもかかわらず、なぜ港北ニュータウンにはこんなにも多くのスーパーが密集しているのでしょうか。人口数は市内18区中、10位の都筑区。人が多いからスーパーがたくさんあるというわけではなさそうです。では、一体いつから、そしてどうしてこんな「スーパー天国」に?

 実際にスーパーを巡りながら、「スーパー天国」エリアの実態を探ってみようと思います。

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センター北駅の老舗「そうてつローゼン モザイク港北店」

 相模鉄道を「そうてつ」と呼び、横浜の駅ビル相鉄JOINUS(ジョイナス)で買い物を楽しみ、相鉄の運営する「横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ」でお食事……。そんな相鉄ライフをエンジョイする地元の人々にとって、スーパーといえば神奈川県を中心に店舗展開する「そうてつローゼン」。バラのマークの「髙島屋」の出資もあり、創業当時の名前「相鉄ストア」から、「そうてつローゼン(ドイツ語でバラの意)」に改名したのが1982年のこと。来年で創業60周年を迎え、地元住民からも熱い支持を集める由緒正しきスーパーが「そうてつローゼン」です。

 観覧車が目印のセンター北駅のランドマーク「モザイクモール港北」の地下1階が「そうてつローゼンモザイク港北店」

 2000年3月、センター北駅前に開業した「モザイクモール港北 都築阪急」にテナントとして出店した「そうてつローゼン モザイク港北店」は、センター北駅~センター南駅周辺で最も歴史ある店舗です。特に「デパートに隣接するスーパーマーケット」という位置付けで、上質感のある品揃えが特徴となっています。

デパ地下との融合、立ち止まらせる演出

 モザイク港北店は、通路を挟んで阪急の食品売り場と向き合っているため、デパ地下とスーパーの区別のない不思議な空間です。通路のどこからでも店内に入れるレイアウトのため、商品が目に留まり立ち止まるように、キャッチーな商品を通路に向けて陳列しています。

モザイクモール港北地下1階「そうてつローゼン モザイク港北店」。通路の右側は百貨店の食品売り場

 ウインドーショッピングしながら、ここでしか買えないようなワインやお菓子など「オンリーワン」な商品に出会える、まさに買い物を楽しむための店といえます。