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CM音楽の作曲数は日本3位

 とにかくCM音楽の作家は、どんな曲でも作れないといけないんだ。これは得意なんだけどこれは不得意なんて言ってちゃ通用しない。俺は15秒ぐらいなら、ロックからジャズからクラシックから民謡から歌謡曲から、どんなジャンルでももっともらしく作れるわけ。しかも、今はそうでもないだろうけど、昔は譜面が書けなきゃダメだった。

 日本でのCM音楽の作曲数において、俺は小林亜星、キダ・タローに次ぐ3位にランクされるという話があるのよ。正確な統計的根拠のない俗説なんだけど、確かにそのぐらい書いてたかなという実感はある。一番多い時は、月に5本ぐらいは作ってたからね。

2005年、第53回菊池寛賞贈賞パーティーでの小林亜星

 俺、コミカルなタイプの歌物だけじゃなく、普通の洒落たBGMみたいな曲もいっぱい作ってたんだ。たとえ俺のファンでも近田春夫の作品とは認識してないような、そっちの匿名性の高い仕事の方が、量としては多いと思う。あまりにも膨大だから、作っちゃ忘れ作っちゃ忘れって感じで、どんな曲があったか俺自身も覚えてないんだよね。

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 歌物の場合は、みんなコピーライターの書いた歌詞があって、それに曲をつける形になっている。100%詞先(しせん)だよ。

打ち合わせの途中で、頭の中に曲は出来上がってる

 CM音楽は、打ち合わせから完パケまでのスケジュールが10日間ぐらいと非常に短い。

 まあ、俺はたいがい、打ち合わせの途中で頭の中に曲は出来上がってるんだけどさ。どんな場合でも「はい、分かりました。ご期待下さい」って言い残して帰ったもんだよ。

黒ラベルCM

 大昔は生演奏だったから、スタジオにミュージシャンを呼んで、レコーディングしてダビングしてっていうやり方だった。

 たかだか3秒のジングル録るんでも、自分の仕事場から必要な楽器や機材を車に載せて全部持って行かなきゃならない。昔は楽器も機材も重くて大変だったよ。恵比寿に事務所があった頃は、その輸送とセッティングをECDが手伝ってくれてたな。

 途中からはそれが面倒になって、同じ機材を自分の仕事場とよく通っていたCM音楽のスタジオの双方に常備するようになった。