より多くの人が遊べるようにするのであれば、極端な話「コントローラーを持って、カートを操作する」部分がネックになる。ゆえにWiiのころには直感的に操れるハンドル操作(コントローラーをハンドルのように持って操作するモード)が用意されたし、『マリオカート8 デラックス』に至ってはほとんど自動運転ができるようになった。
ハンドルアシストとオートアクセルがあっても、プレイヤーは自分でアイテムを使う必要があるため、レースに参加している雰囲気がきちんと味わえるわけだ。このシステムのおかげでそれこそ未就学児でも楽しめる作品になり、「みんな」の範囲がさらに広がった。
つまり『マリカー』は定番になったからすごいのではなく、定番になったうえで「さらなる定番化の努力を続けている」ために売れ続けるのである。そのためNintendo Switchと一緒に購入されるほどの信頼を勝ち取っており、『あつまれ どうぶつの森』が発売されたあとでも販売本数で負けないわけだ。
「Wii Uが売れなかった」ことが意外な影響をもたらす
前述のように、Nintendo Switchで最も売れている『マリオカート8 デラックス』は、Wii Uで発売された『マリオカート8』を前身とした作品になっている。いわば要素を追加した移植作品であり完全新作ではないのだが、それがなぜここまで売れるのだろうか。
ニンテンドーDS以降の『マリカー』は全世界で2000万本近く売れる作品になっているものの、Wii U『マリオカート8』の販売本数は845万本となっている。半分以下になって見劣りするが、実はこれでもWii Uで最も売れたゲームなのだ。そう、そもそもWii U本体自体が全世界で1356万台しか売れていないため、伸び悩んでしまったのである。