「そうしたら、宮崎さんから連絡があり、『じつはあるスナックのママに会いに行ってるんだ』と聞かされ、その店に4人で行くことになったんです。どこだか憶えていませんが、ビルの一角で、40歳前後のママだけがいて、青いビロードのソファーの店でした。そこでは私の両隣に宮崎さんと田中さんが座り、対面に由紀夫さんが座りました。由紀夫さんは元気がなくてほとんど喋らず、両脇の2人が私に、『あのママに会いに来てるんですよ』と耳打ちしていました。宮崎さんは『ママ、ママ、また来たよ』と、その店に何度も来ている様子でした」
荷物を持たずに、突然家を出ていった由紀夫さんと清美さん
7月の終わりになると、家に帰ってきた由紀夫さんが態度を豹変させ、「出て行け」と言う出来事が起きた。それから1週間も経たないうちに、由紀夫さんと清美さんの2人が、荷物をなにも持たずに、突然家を出ていってしまったのだと智子さんは語る。
「ふつうならば、なにか一言くらい言ってもいいでしょう。私はなんでこんなふうになってしまったのかと、2カ月くらい落ち込んでしまいました」
それから間もなくして、由紀夫さんは智子さんを呼び出して別れ話を切り出した。そこで智子さんは最後に家族全員での食事を提案。レストランに集まったところ、そこにはなぜか、「宮崎」と「田中」の姿もあったという。
「由紀夫さんも清美も元気がなく、その場は田中さんが仕切っていました。田中さんが清美に『お母さんに手紙があるんでしょ』と言い、清美から手紙を渡されました。そこには『お母さんに殺されるんじゃないかと思った。お母さんの目が怖くていつも殴られると思った』というようなことが書かれていました。私はショックで、清美に何年もずっとそういうふうに思っていたのと聞くと、清美はワァーッと泣き出したんです。いま思えば私のことを嫌いだとか怖かっただとか、あの2人に言わされていたんだと思います。それで私は『もう泣かんでいい、泣かんでいい。私は清美のことが好きやけいいよ』と言いました」