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実写映画やミュージカルなど『バイオハザード』の層の厚さ

『バイオハザード』シリーズは上記のような革新を起こしている部分に目がいきがちだが、定期的に作品を出している部分も見事であろう。銃型コントローラーで敵を撃つガンシューティングの『バイオハザード ガンサバイバー』シリーズ、オンラインゲームになった『バイオハザード アウトブレイク』シリーズ、あるいはゲームボーイカラーでサバイバルホラーを描いた意欲作『BIOHAZARD GAIDEN』など、スピンオフなどを含めるとシリーズ全体ではゲームだけで30作品以上になる。

映画『バイオハザード』 画像はアミューズソフトエンタテインメント公式サイトより

 そして、本シリーズはゲーム以外の展開にも積極的である。たとえば、ミラ・ジョヴォヴィッチが主演する映画『バイオハザード』シリーズは有名だろう。本作の累計興行収入は、日本国内では200億円、全世界では10億ドルを突破している。また、ゲーム版の世界設定を活かした実写映画が製作中で、新たなCG映画や実写TVドラマシリーズも展開される。

 このほかにもミュージカル、パチスロ、体感型ゲームなどさまざまな形で展開が行われており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン向けのアトラクションも存在する。『バイオハザード』シリーズは良いゲームを軸に、人気を集めたIPとしてさまざまな展開を行うからこそ、根強く支持されるのだろう。

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『バイオハザード』の魅力は“安定と革新”ではないか

 さて、改めて「『バイオハザード』シリーズの強さは何か?」と考えてみると、「安定しているうえに、しばしばホームランを打つ」ところだろう。ただ単に人気が出たものを続ければいつかマンネリ化するが、本シリーズではそれを打破する作品が定期的に出てくるのだ。

 しかも、革新的な作品を作る際には従来のものを思い切って捨ててしまう。最初はサバイバルホラーゲームだったのに、いつの間にか銃を撃つゲームになり、それで人気が出たと思ったら今度は全編VR対応でファンを驚かせてくれる。とはいえ挑戦ばかりだとリスクも大きくなるわけで、スピンオフなどその他の展開で層を厚くしているのだ。いわば、挑戦と安定のバランスがいいのではないか。

 2021年5月8日には、シリーズ最新作となる『バイオハザード ヴィレッジ』が発売予定。PS5やXbox Series X、つまり次世代機のスペックを活かしたビジュアルやサウンドが特徴となっている。また、シリーズの傑作と呼ばれる『バイオハザード4』をオマージュしているところもポイントだ。

『バイオハザード』シリーズは、これからも安定したおもしろい作品を作り続けてくれて、それに飽きたころにまた革新的な傑作を見せてくれるのだろう。