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 しかし、もともと「操作しづらくカメラも見づらいからこそ成り立つホラー」だったわけで、『バイオハザード』シリーズはいまいちアクション映画のようにはなりきれていなかった。そこで革新を遂げたのが2005年発売の『バイオハザード4』だ。

挑戦的なゲーム内容

 初代『バイオハザード』や『バイオハザード4』でディレクターを担当した三上真司によると、この『4』では「狙って撃つアクション」を最も重視したという。具体的にはラジコン操作と固定カメラが廃止され、海外で特に人気のシューター(銃を撃って戦うタイプのゲームジャンル)を参考にした作りになり、よりなめらかに動かせるようになった。

『バイオハザード4』(2019年配信のNintendo Switch版) 画像は任天堂公式サイトより

「相手を銃で狙い撃つゲーム」は操作に慣れないと難しく感じられるのだが、構えてから銃を撃つようにする(移動と銃撃を同時に行なわずシンプルにする)形式を採用したり、レーザーサイトで狙っている場所が可視化されたりと、細かい部分でプレイヤーを突き放さないような作りになっている。同時に『バイオハザード』シリーズの特徴であった謎解きも簡易なものになり、大きく様変わりしたのだ。

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 この挑戦的な内容は見事に受け入れられ、長く愛されるタイトルとなった。『バイオハザード4』は複数のゲーム機に移植され、全機種累計で約910万本のヒット。国内外のゲーム業界にも影響を与えるタイトルとなったのである。

VRという革新性を得た『バイオハザード7 レジデント イービル』

『バイオハザード』シリーズはマンネリと革新を繰り返す。前述のように『バイオハザード4』は偉大な作品になったが、その後の『バイオハザード5』や『バイオハザード6』はむしろ海外で人気のシューターを単純に真似たような、少し古臭い作品のようになってしまう。これら作品は決してクオリティが低いわけではないし、販売本数的にはかなりの数を記録しているのだが、それでもゲーム業界の進歩はめざましく、あっという間に目新しさは失われていく。

 そのままではシリーズから徐々に人が離れてしまうわけだが、2017年に発売された『バイオハザード7 レジデント イービル』で、またもや革新を起こしてくれる。『バイオハザード4』以降は三人称視点(キャラクターの後ろにカメラがある)形式だったのだが、今度は主観視点になったのだ。