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 いわゆるFPS(ファーストパーソンシューティング、一人称視点で銃を撃つゲーム)にあたるジャンルに変化したわけだが、なぜこれを選択したのだろうか? 理由のひとつとして、本作はホラーに戻るという原点回帰を謳っていたからだ。三人称視点よりも主観視点のほうが見える範囲が限られていて没入感もあり、恐怖を掻き立てられる。しかし最も重要なのは、全編VR(バーチャルリアリティ)対応という部分だ。

最新技術を活かしつつ、原点回帰も果たした傑作

 VRは没入感が味わえるのが特徴であり、かつプレイヤーの主観的な視点で描かれるケースが多い。つまり『バイオハザード7 レジデント イービル』は、VRという最新技術を活かしつつ、かつホラーゲームに戻るという原点回帰のふたつを同時に目指したのである。

 VR機器はいまでこそ徐々に馴染みつつあるし、『バイオハザード7 レジデント イービル』が対応したのは比較的人気のあるPlayStation VRだったが、それでもまだ当時は一部の人が遊ぶものでしかなかった。あるいは対応しているタイトルがあっても規模が小さいケースも多かったのだが、カプコンは『バイオハザード』シリーズという大規模なタイトルで全編対応をしたわけだ。これはなかなかの冒険といえただろう。

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『バイオハザード7 レジデント イービル』(2017年) 画像はカプコン公式サイトより

 結果として本作は大成功。VRで遊べばこれまでにない恐怖を体験できるうえ、ゲームとしてのクオリティも見事なもので、非常に新鮮な体験になっていた。全編VR対応のゲーム自体が少ない当時であれば、高く評価されるのもまったくおかしくない。

『バイオハザード7 レジデント イービル』の売り上げは全世界累計で850万本を達成。この記録は、カプコンのゲーム作品の売り上げで歴代2位となる(移植を除く作品単体の販売本数で計測した場合)。『バイオハザード』シリーズは長寿シリーズになったあとでも驚くべき作品を作り上げ、それが評価にも数字にも現れているのだろう。