こんな形で“復活”が見られるとは思わなかった。

『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年スペシャル』で2014年に終了した『笑っていいとも!』のセットが完全再現されパロディ化されたのだ。「いいとも青年隊」よろしく、踊りながらとんねるずが番組テーマ曲「ウキウキWATCHING」を歌う。そして中央から登場したのはもちろんタモリだ。

©文藝春秋

 とんねるずはデビュー当時、タモリからいち早く評価されたことで、芸能界で生きていくことを決めた。その恩義もあって、『いいとも』最後の3ヶ月に“不定期”レギュラーという異例の形で番組に参加した縁はある。しかし、ハッキリ言って『いいとも』が“復活”する場となるほど、濃い関係性ではない。それどころか、『みなさん』は石田弘のいわゆる石田班が生んだ番組。対する『いいとも』の横澤彪(たけし)班とは、犬猿の仲と噂されていた。だから、少し前までは想像だにできなかったコラボレーションなのだ。

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 タモリは「何なの、この企画は? おかしいだろ」「全体的に軽くバカにしてるだろ?」などとボヤきつつも、どこか楽しげで、嬉しそう。とんねるずにフラれるまま、「細かすぎて伝わらない」ヘビメタや中国人ラッパーのモノマネも披露するサービスっぷり。

 そして「お友達紹介」として笑福亭鶴瓶に電話。アルタに来てしまった鶴瓶を雨天の中、バイクのサイドカーに乗せてフジテレビまで連行する。若手タレント並みの扱いを受ければ受けるほど光るのが鶴瓶。到着し「大人のやり口ちゃうで」などと抗議する鶴瓶を尻目に貴明が言う。

「鶴瓶さん、あれやって。『A-スタジオ』のエンディング」

『A-スタジオ』はTBSのトーク番組。最後にゲストを泣かすような一人語りをするのが名物だ。普通、芸人は“いい話”や“泣かす話”をすることを恥ずかしいと感じる。しかし、鶴瓶は厭わない。いや、むしろ積極的にする。タモリはそれを「偽善芸の集大成」と偽悪的に形容して笑った。

 鶴瓶は一人残されたスタジオで神妙に語り始める。『いいとも』のような歴史のある大事な番組をこんな形でパロディにするなんてとんねるず以外にはあり得ない、と。

「とんねるずのノリなんです。みんなノリでやる。それがものすごい大事やねん」「いまフジテレビにいちばん大事なのはこのノリです」

 この「ノリ」こそ、とんねるずとフジテレビらしさだ。

▼『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP』
フジ  9/28放送。