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Creepy NutsのR-指定が不登校児に語った“1年間の無職の時期”「ラップに情熱があるのに、ないふりをしていた」

Creepy NutsのR-指定が不登校児に語った“1年間の無職の時期”「ラップに情熱があるのに、ないふりをしていた」

『続 学校に行きたくない君へ』より

2021/04/22

 劣等感やコンプレックスに向き合ってラップにしていくことが、自分のなかではすごく大事なことです。なので、俺が作る音楽が学校や社会に対して劣等感を感じる人に響いてくれたらいいな、と思って作っています。

自分と向き合える、その時間こそ大切にしてほしい

 俺も約1年間、無職でなにもしてない時期があったんです。UMB(Ultimate MC Battle)の全国大会で2年連続で1回戦負けをしたときです。そこからの 1年間がきつかった。自分の一番の生きがいであり、自信を持っていたラップで負けてしまった。「ああ、俺はこんなもんだったんだな、終わったな」と思っていました。ふさぎ込んでしまって、週末だけ梅田に行ってラップをする以外の時間は、ひたすら映画を見たり、散歩をしたりして過ごしていました。

©iStock.com

 でも、そのころふさぎ込んで考えたアイデアや思想が、今ではものすごく役にたっています。外側から見たら「なにもしてない」って思われるんでしょうけど、そういうときに吸収したものが、今でも俺を動かしている。

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 俺がその1年間、自分と向き合って向き合って、最終的に見つけた答えは「カッコつけてもあかんな」ということです。それまでの自分はカッコつけて、クールにラップを見せようとしていました。本当はラップに情熱があるのに、ないふりをしていたんです。でも「ちがうぞ」と。「俺にはマジでラップしかないんだから、カッコつけずに、自分の気持ちを全部正直にぶつけよう。それで負けるんだったら負けよう」と思ったんです。そして年末に、その思いを持ってUMBの全国大会に出て、初優勝したんです。

 今でも「カッコつけない」は自分のスタイルです。俺はぶれることのない自分のスタイルを苦しんだ1年で見つけることができた。だから、不登校とかひきこもりで社会とあまり関わっていないときに、自分のなかで摂取したもの、自分のなかで考えたもの、それはすごく大事なことではないかと思います。

 その時期になにかに打ち込んだり、打ち込むことがなければなにかを探したりできる。社会に関わらないということは、それだけ自分と向き合える時間があるということです。「学校でイケてないとだめなんじゃないか」とか「社会に出たら成功しないと」とか、そういうよけいな情報が入ってこない状況のなかで自分と向き合える、その時間こそ大切にしてほしいと思います。

続 学校に行きたくない君へ

全国不登校新聞社

ポプラ社

2020年7月14日 発売

Creepy NutsのR-指定が不登校児に語った“1年間の無職の時期”「ラップに情熱があるのに、ないふりをしていた」

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