昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/05/01

「時を置いて性的な」から「(時を置いて)性的な」へ

 さて、ここで気分転換いたしましょう。ジェンダー関連の言葉ですが、これはどうでしょうか。

七版愛欲 異性に対する強い性愛の欲望。〔道徳的見地からの表現〕」
 ↓
八版愛欲 特定の相手に対する~」

 ああね、愛欲もね、別に男女だけではないし、と思う。で、わたしは念のために「性愛」を引いてみました。

七版性愛 〔男女間の〕性的な愛情。」
 ↓
八版性愛 (男女間などの)性的な愛情。」

 七版には用例はありませんでしたが、八版では「―関係・異常―」と用例が続きます。

 新解さんは、「性愛」では「特定の相手との」とは書かず、「男女間などの」としている。「そうか」と思い、やはり「性交」を引いてみます。まあ、これは新解さんの基本かもしれません。

七版性交 成熟した男女が時を置いて性的な欲望を満たすために肉体的に結合すること。」
 ↓
八版性交 成熟した男女が(時を置いて)性的な欲望を満たすために肉体的に結合すること。セックス。」

第七版の「性交」 ©文藝春秋
第八版の「性交」

 七版では、性交は必ず時を置いてするものだった。八版では時を置くかどうかは、その人たちの自由でもいいです、という感じが出ている。でも、七版も八版も性交は、成熟した男女がするものだ、と新解さんは言っている。うーん、これは一体どういうことなのでしょうか。わたしも一生懸命、性交について考えてみました。

 たぶん、新解さんの目の端には「成熟した男女」以外の人たちも、ちゃんと入っているはずです。でも、それを全部書いているときりがないし、字数も足りない。あるいは、照れてしまっているのかもしれない。まあ、「成熟した男女が」というのは、新解さんの願いであって現実と食い違うこともある。みなさん、これはそういうことだ、と理解して怒ったり抗議の電話などしなくてもいいのではないでしょうか。

z