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事件は未解決のまま時効を迎えた

 当初、犯行現場には、下着に付着した精液やたばこの吸い殻、犯人のものと思われる髪の毛、スニーカーの足跡などが残されており、ほどなく犯人が捕まるかと思われたが、捜査は難航を極めた。

 韓国全国からベテランの捜査員が捜査本部に次々と投入され、動員された警察官は延べ205万名あまり。捜査の対象となったのは2万1280名、指紋鑑定の対象者も4万人以上にのぼった。しかし、犯人逮捕には至らなかった。取り調べを受けた中には、その後、自死する者も出ており、捜査に当たった警察官の中にも過度なストレスからか自ら命を絶った者もいた。

警察の捜査の様子 ©時事通信社

 警察のずさんな捜査が集中非難を浴びる中、89年7月、その前年(88年)の9月に起きた8番目の事件の容疑者として1人の男が逮捕された。台安村に住む13歳の中学生が自宅で暴行された後、絞殺された事件で、容疑者は近隣に住む当時22歳、農機具の修理工だった。

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 逮捕の決め手となったのは血液型。他の事件から犯人の血液型はB型と推定されており、容疑者は同じB型だった。さらに、被害者の遺体から採取された犯人のものと思われる陰毛が鑑定され、陰毛の成分と形状が犯人のものと“似ている”と判断された。

 容疑者の犯行はこの8番目の事件のみとされ、10件のうち唯一室内で起きたこの事件は「華城連続殺人」を真似た犯行と結論づけられた。

 容疑者は裁判で、「警察の高圧的な捜査により虚偽の自白をしてしまった」と無罪を訴えたが、聞き入れられることはなかった。上訴は棄却され、無期懲役となり収監された。

 その後、「華城連続殺人事件」を担当した刑事が執念の捜査を続けているといったニュースが時折思い出したように出たが、犯人の行方は杳として知れず。2006年、8番目をのぞいた9件すべてで時効が成立した。韓国では2007年に殺人罪の公訴時効は25年になり、2015年には時効はなくなっていたが、それ以前に起きた事件では時効15年が適用された。