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「あんたのお父さんがうんこを漏らしとうけ。早く帰って掃除をしい」

 午後3時頃になって、緒方が洗面所から浴室を覗いたところ、由紀夫さんは洗面所側に向いてあぐらをかいた姿勢で俯いていた。浴室の床に敷いていた雑誌の上には大便が散らばっており、緒方は「汚い」と文句を言って浴室のドアを閉めている。

 学校から帰る途中に清美さんが公衆電話で緒方に帰宅の連絡を入れたところ、緒方から、「あんたのお父さんがうんこを漏らしとうけ。早く帰って掃除をしい」と言われ、午後4時か4時30分頃に帰宅した。

幼稚園勤務時代の緒方純子(1983年撮影)

 それから松永と緒方に命じられた清美さんが、浴室に清掃に入った際の状況について、公判における緒方の証言は次の通りだ。

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「清美が浴室を掃除する間は、由紀夫を浴室から出して台所に移動させた。由紀夫は自分で立ち上がり、足形を書いた紙を足の下に敷いて、自分で移動して台所まで歩いていった。台所で由紀夫の衣服が汚れていないか確かめた。衣服を脱がせて確認したのが台所だったか浴室だったかは、はっきり憶えていない。浴室の掃除が一通り終わってから、松永の指示を受けて、由紀夫をふたたび浴室に入れた」

突然いびきをかき始め、急変した由紀夫さん

 それから由紀夫さんの様子は急変した。判決文は緒方の供述に沿ってそのときの状況を説明する。

〈浴室の床はまだ雑誌が敷かれていない状態だった。由紀夫は、浴室に入ると、洗面所の方を向いてあぐらをかいてしゃがんだ。

 

 松永が洗面所から浴室内の由紀夫に話しかけたところ、由紀夫は、あぐらをかいたまま上半身を前屈させて倒れ、両手を前に伸ばし、額を床に着けた状態で動かなくなり、突然いびきをかき始めた。

 

 松永は、由紀夫の異常に気付き、緒方を呼び寄せた。

 

 松永は、由紀夫の様子を見て、緒方に対し、「あんたがご飯食べさせてないけやろうが」などと言った。

 

 松永と緒方は、すぐに由紀夫の手足を持って由紀夫を台所に運び、床に仰向けに寝かせた。由紀夫は目を閉じており、いびきは止んでいた〉