「ウィスキング」は何がすごいのか
「フォレストサウナは、僕のリトアニアやエストニアでの原体験を忠実に形にしたんです。森とつながるサウナ、だからフォレストサウナ。今回は目玉としてウィスキングを、どうしてもここを拠点にスタートさせて広げていきたかった。
ウィスキングの魅力は、ほんとにもう自然に飛ぶというか、自然にまみれるところ。サウナ、水風呂、外気浴でも十分なのに、更にもっとすごいのがあった、というのがウィスキングだったんです。うわ、なんだこの組み合わせっていう。それも国によって微妙に違うのが面白い。エストニアだと、サウナは先祖と出会う場というようなシャーマニズムが残っていて。そこでウィスクは絶対なんです。その思想がないとサウナとは言わないわけです。それは単なる熱い箱。日本で言ったら榊のない神棚みたいな感じですよね。それぐらい重要な要素なんですよね。対するフィンランドは良い意味でもっと普遍的で形式的。
ウィスキングは定期的に開催したいんですけど、世の中が今この状態ですから、ゆっくりやっていきます。僕はエストニアやリトアニアで知ったあの世界観をしっかりと伝えていきたいので。やっぱりビジネスじゃないですよね。それで儲けようとひとつも思ってないので。サウナでのととのい、更にその上のととのい体験がウィスキングによって感じられるという、正しいカルチャーをみんなに伝えたいから。技術的なことだけではなく、世界観や思想も一緒に伝えて初めて完成だと思うので。まだまだ終わりがないんです。
今ウィスキングをやっている施設はそんなにないんです。サウナ自体がそういう設計になっていないから。だからラボでは人が寝っ転がれるような広い幅をとって、やる側の人たちが施術しやすいように、ウィスキング時はベンチを収納できる作りにしました。
最初からウィスキングありきで作っているんで、ウィスキングが入ってやっとフォレストサウナは完成するんです」
米田には右腕ともいうべき一人のサウナビルダーがいる。米田の祖父が最初に始めた「神戸サウナ&スパ」に入社し、米田一族に長きにわたって仕えた後、ウェルビーやサウナラボのほぼ全てのサウナを米田とともにビルドアップした伝説の男である。