あの「サウナラボ」がいよいよ東京に上陸。これは全サウナーの間で今年最大のニュースだ。“サウナ界のゴッドファーザー”ことウェルビーの米田行孝社長は、なぜサウナの中に生きた植物を植えたのか?(前編から続く

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 約2畳ほどの小部屋に、1畳分の畑があり様々なハーブが植えられており、天井には白樺の枝が敷き詰められている。その横に人ひとり分のスペースがあり、サウナに入った後には室内で外気浴さながらに自然を感じながらリラックスすることが出来る。

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内気浴スペース。土のにおいを感じる
店内のいたるところに白樺の木が

都会の中心で“土の香り”を感じる

「昨年の緊急事態宣言の時に、国がコロナに打ち勝つとか、そんなことばっかり言ってて。すごい違和感があったんです。ウイルスなんて元々自然界にあったものでしょ。ウイルスも人間も自然の一部ですからね。

 ある時ウイルスってそもそも何なんだろうと調べていった時に、微生物と土にめちゃくちゃはまったんですよ。それで何回も繰り返し本を読んだりして。それまでは、公園に行くと普通に木々を愛でたり、空気のおいしさを感じたりしていたんですけど、地面の中を見るようになったんですよね。そうすると土という不安定なものの上でみんな生きているということを実感して。土は無機質な細かい石プラス、死骸とか微生物の集積ですよね。だから土との距離を近づけたいって思ったんですよ。完全に変態なことを言ってると思うけど(笑)。

 子供の頃って砂場とか土いじりとかみんな好きだったじゃないですか。今よりも土との距離がめちゃくちゃ近かったと思うんですよ。だから『なんかみんな土の香り忘れてない?』って思って。街にいる人にこそもっと身近に自然を感じてもらいたい、土の香りをあの中に充満させたい、そうすることで森に、自然に包まれたい、と思って内気浴スペースを作りました。あそこでむかし野原を駆け巡ったことを思い出してもらい、精神的にタイムトラベルしてもらいたいなと。そういう意味ではコロナがなかったらあれは作ってなかったかもしれません」