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92年菊花賞、5度めの「ミホノブルボンvs.ライスシャワー」は激闘に

 そして迎えた92年11月8日、菊花賞。

 京都競馬場はミホノブルボン一色に染まっていた。ライスシャワーは2番人気。2頭の対戦はこれが5度めだが、走るたびに差が縮まっていた。そしてこんどは3000mである。「チャンスはある」と騎手の的場均は思っていた。大久保房松厩舎で飯塚好次の弟弟子だった的場は皐月賞から主戦騎手となっていた。

 レースは思いもしない展開となった。キョウエイボーガンが強引に先頭を奪い、速いペースで逃げる。ミホノブルボンの小島は無理をしないで2番手に控える。ライスシャワーは5番手。標的を決めたときの騎乗に定評がある的場はじっとして動かない。

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ミホノブルボン ©️文藝春秋

 2周目の3コーナーの坂を下りながらミホノブルボンが満を持して先頭に立つ。ライスシャワーも差をつめてくる。そして直線。逃げるミホノブルボンの外からライスシャワーが追い抜いていく。5度の対戦で初めて2頭が交差した瞬間、ミホノブルボンの三冠が消えた。

ライスシャワー ©️文藝春秋

 ライスシャワーの完勝だった。内から迫るマチカネタンホイザを抑えて2着を死守したミホノブルボンに1馬身半の差をつけ、優勝タイム3分5秒0は当時の菊花賞レコードである。栗林家はクリノハナ以来40年ぶりのクラシック優勝であった。クリノハナが故障で出走できなかった菊花賞を妹の曾孫が勝ちとった。