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「ちょっと薄給すぎやしないか」コロナ支出により「給与カットが再び現実のものに…」東京都庁職員のリアルな“給与事情”

『ハダカの東京都庁』より#2

2021/06/18

source : ノンフィクション出版

genre : 働き方, 社会, 読書

note

 こんな黒歴史は思い出したくもないが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、悪夢が蘇ろうとしている。

 財政危機を経験した都庁はその後、都債発行を抑制し職員定数を削減、外郭団体にも大ナタを振るった。その結果、都庁の貯金に当たる財政調整基金は1兆円近くにまで積み上がった。が、コロナで事態は一変。対策費など臨時的緊急的な支出がかさみ、財布の中はあっという間に空っぽになってしまった。コロナ後の税収急減とオリンピックの追加負担を加えると、都庁の財政は、正に三重苦に襲われようとしている。今後は、借金である都債の大量発行や、最悪、給与カットが再び現実のものになるかもしれない。

 それでもなお、コロナ禍での民間事業者の方々の窮状に比べれば、天国のような状況であることに変わりはない。都庁職員は「隠す人」になる前に、このことを忘れてはいけないだろう。

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試験問題は誰が作成しているのか

 人事委員会の仕事は給与関連の調査だけではない。人事委員会には試験部という秘密の部署がある。部長1名、課長8名。いったい何をしているのか。

 都庁では、年間を通して多種多様な試験が実施されている。採用試験、主任試験、管理職試験、それぞれの試験はさらに細分化されている。いったい何十種類の試験があるのか。しかも、受験者は何百人、何千人規模である。

©iStock.com

 これらの試験を一手に担うのが試験部である。しかし、試験の事務手続きや進行管理を行っているだけと思ったら大間違いだ。試験部のメインの業務は、試験問題の作成なのである。まだピンとこないだろうが、都庁では各種試験の問題を都庁職員が自前で作っているのだ。これは都庁の過去からの誇るべき(?)伝統であり、試験部に配属された職員は毎日ひたすら試験問題を考え続け、問題作成にすべての時間を費やすことになる。