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「ちょっと薄給すぎやしないか」コロナ支出により「給与カットが再び現実のものに…」東京都庁職員のリアルな“給与事情”

『ハダカの東京都庁』より#2

2021/06/18

source : ノンフィクション出版

genre : 働き方, 社会, 読書

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なんちゃって新規事業

 新型コロナ第1波の緊急事態宣言下、都庁は自らに出勤8割削減を課した。外郭団体にも同様の指示を出した。もぬけの殻状態の都庁の職場が、テレビに映し出されることもあった。が、実態を聞いてみると、そうとも言い切れなかったようである。

 本庁のある部長曰く「朝、自宅で数時間、在宅勤務はするんですが、昼過ぎには都庁に出勤していました。だって、仕事が溜まってしまいますからね。残業しなければとても追いつきませんよ」。これでも、在宅勤務1回とカウントされたのだそうだ。しかも、昼休みの時間帯を使って出勤するため、ランチタイムは実質なくなってしまうというおまけ付きである。

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 都庁の「やってます感」を演出するだけの、姑息な手立てと言われても仕方があるまい。まさに、なんちゃってテレワークである。

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 この「なんちゃって」には元祖がある。なんちゃって新規事業だ。新規事業は予算編成の花とも言える存在である。各局は知恵を絞って都民ニーズに応えようとする。毎年、年明けの予算原案発表では、この新規事業が大々的に報じられる。だが、見落としてはいけないのは、本当にその事業が「新規」なのかという点である。

 まず、事業名だけで判断するのは非常に危険である。なぜなら、既存事業の対象を少し拡大するなど中身を多少いじっただけなのに、まったく新しい事業名を冠して「ハイ、新規事業でございます」とする場合がよくあるからだ。

 化粧直しの方法は他にも様々ある。補助金の額や割合を拡充する、新しいサービスを付加する、事業主体を広げるなど、新規事業を偽装することは案外簡単なのである。裏を返せば、新規事業を量産するため、都庁職員の優秀な頭脳が「偽装工作」に利用されていると捉えることもできる。

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