コロナ対策やオリンピック開催に揺れる東京都。澤章氏は、東京都庁に30年以上勤め、知事のスピーチライター、人事課長を務めた元幹部だ。澤氏は、築地の現状を提言し、2020年に刊行した築地と豊洲 「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(株式会社都政新報社)がきっかけで、都庁をクビになった。

 そして、都庁とマスコミの関係、都庁職員の人間関係や、小池百合子知事の本当の姿について明らかにした書籍が『ハダカの東京都庁』(文藝春秋)だ。実際に見て聞いた、その驚くべき内幕を、同書より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目。後編を読む)

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発禁本再び?

 西新宿の都庁第一本庁舎の2階には書店が入っている。今頃、『ハダカの東京都庁』はちゃんと並べられているだろうか、ちょっと心配である。

 というのも、1年前の春に出版した拙著『築地と豊洲』は、発売当初こそ平積みにされたものの、いつの間にか店頭から消え、店員に尋ねるとレジの後ろからこっそり取り出してきたという話を都庁職員から聞いたことがあるからだ。

 まさか、7階(知事室があるフロアだ)から圧力がかかって発禁本扱いにされたのではあるまい。書店にしてみれば都庁は大家さんだ。忖度しないとも限らない。幹部職員に対しては、「あの本は買うな」指令が小池知事から発出されたというから笑ってしまった。

 そうかと思えば、本を全ページ、コピーして職員に配布・回覧し、記述内容のファクトチェックが総動員で実施されたそうだ。ちょっと待て。そのコピー、著作権の侵害に当たるのではないか、こっちのほうも心配である。

『ハダカの東京都庁』でも同様のことが繰り返されないことを願うばかりだ。