「低糖質ダイエット」はNG
LOH症候群と診断されるような病的な状態なら、注射や塗り薬などでテストステロンそのものを体内に入れる治療が必要になるが、そこまでではない場合は「食事」を見直すことが最も効率的な対策となる。
堀江医師が推奨する「テストステロンを高める食材」は次の通り。
・畜産食品、乳製品:牛肉、馬肉、鶏卵、ヨーグルト
・魚介類:マグロ、サケ、カキ、アサリ、ハマグリ
・野菜:ニンニク、ブロッコリー、ホウレンソウ、カボチャ、セロリ、タマネギ、アボカド
・キノコ類:マッシュルーム、トリュフ
・果物:バナナ、パイナップル、ザクロ
・その他:ナッツ、トウガラシ、ごま油、オリーブオイル、はちみつ
これらの食材を効率よく摂取することで、テストステロンの低下を防ぎ、落ちてしまった「やる気」を上昇傾向に転じさせることも可能というのだ。
と言っても、ここに挙げられた食材だけを食べろ、というのではない。日常の食事の中に、これらの食材が入るように工夫すればいいだけのこと。
堀江医師が特に注目するのが「中華料理」だ。
本格的な中華料理店では、まず最初にナッツが出てくるし、多くの料理にタマネギやニンニクなど「テストステロン補強食材」がふんだんに使われている。「酢豚に入っているパイナップル」は好き嫌いの対象としてよく取り上げられるが、やる気を高めたいなら積極的に食べるべきだろう。
一方でテストステロンを下げる方向に働いてしまうのが「低糖質ダイエット」だ。
堀江医師によると、体内でテストステロンを作るためには糖質とコレステロールが原料として不可欠。低糖質ダイエットはこれらの摂取を制限してしまうだけでなく、腸内環境にもダメージを及ぼす危険があるので、注意が必要だと呼びかける。
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「文藝春秋」7月号および「文藝春秋 電子版」掲載の「『やる気と食事』の最新医学」では、テストステロンとやる気の科学的な関連性と、先に挙げた食材を上手に利用してテストステロン値を高めるメニューとレシピも紹介されている。
在宅時間が増えて、しかも「やる気が出ない」という人は、この機会に試してみてはどうだろう。
「やる気と食事」の最新医学
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