だれかの「ひと言」にイラッとしたこと、ありませんか? もしくは、「悪気はなかったのに、ちょっとしたひと言で相手を不機嫌にさせてしまった」というような、苦い経験はありませんか? カウンセラーとして、2万人以上の社会人にコミュニケーションの指導をしてきた大野萌子さんの著書『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』より、人間関係がぐんとスムーズになる「言葉のかけ方」を紹介します。今回はみんなが苦戦する「断り方」編です。(全2回の2回目/「お願いごと」編を読む)

©ヤマサキミノリ

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イエスかノーかわからない「大丈夫」

 

「大丈夫」というのはもともと「立派な男」という意味で、「しっかりしていて安心できる様子」を表す言葉です。そこから派生して、「わかりました」「できます」の意味で使われることが一般的でした。

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 ところが最近では、反対の意味の「やりません」「いりません」「できません」といった断り文句として、「大丈夫です」が使われるケースが目立ちます。そのため誤解が起きやすくなっているのです。

 私の講師仲間も、仕事で使う資料の準備をお願いしたとき、「あ、それは大丈夫です」と言われて送られてくるのを待っていたら、相手は断ったつもりでいたため大変な目にあったことがあると言っていました。

 プライベートで親しい人と話す場合は、「大丈夫」の使い方ですれ違うことはあまりないと思います。お互いの“話しグセ”がわかっているからです。しかし、多種多様な人とやりとりするビジネスシーンで、「イエス」と「ノー」の正反対の意味を併せ持つ言葉を使うのはトラブルのもと。特に何か頼まれたときに、「大丈夫です」を使うのは危険です。

 できるときは「できます」「わかりました」、できないときは「できません」「厳しいです」と意味を明らかにすると、誤解を招かないので安心です。