ジャーナリストで評論家の立花隆さんが、4月30日、80歳で亡くなりました。立花さんは『死はこわくない』『臨死体験』などの著作があり、安楽死や脳死など人間の死について取材を重ねたことでも知られています。その立花さんが出演された「NHKスペシャル 臨死体験 立花隆 思索ドキュメント 死ぬとき心はどうなるのか」について、週刊文春に語ったインタビューを再公開します。(全3回の3回目。1回目、2回目を読む)
(初公開:週刊文春2014年11月13日号。記事中の肩書・年齢等は掲載時のまま)
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「あと1年くらいに」的な発言はよくしているんですよ
――2007年(平成19年)暮れ、立花さんは膀胱がんの診断を受けています。切除手術が行われる数日前、電話をかけてこられて「俺の寿命はあと1年くらい」とおっしゃった。
立花 そんなこといったっけ(笑)。
――ええ、サラッとした調子で。あのときは死を意識していたんですか?
立花 そうなんでしょうね。でも、それまでも「あと1年くらいに」的な発言はよくしているんですよ。
――手術は無事に終えられて、それから7年がたちますが、再発の可能性はあるんですか。
立花 あることはあります。一般的には、治療によってがんが消えた後、5年経過すれば患者はがんを克服したサバイバー(生存者)と見なされます。しかし、膀胱がんの場合、再発率が高く、5年経過してもサバイバーにカウントされません。僕も、手術後7年経ちますが、ついこの間、医者から「再発の可能性がある」といわれました。その直前の内視鏡検査で内壁が真っ赤に腫れ上がっていましたから、自分でも、あ、これはヤバいと思ってすぐ入院に同意しました。その場面は、番組(『NHKスペシャル 臨死体験 死ぬとき心はどうなるのか』9月14日放送)でも映し出されています。ところが、番組中ではその後、僕の膀胱がんに関する言及がなかったので、いろんな人から「(がんは)どうなったんですか?」と聞かれました。
結局、4月に内壁の8カ所から細胞を採取してバイオプシー(病変が疑われる細胞を取りだして、顕微鏡で調べる検査)をした結果、異常なしでした。バイオプシーの後、しばらくオシッコの頻度が上がったり、排尿痛があって不便でしたが、今は何ともありません。とりあえず次の異常が発見されるまでの当分の間、大丈夫じゃないかと思っています。