アルカロイドとは何か?

 アルカロイドは、窒素原子をふくむ天然由来の有機化合物の総称である。ただし、タンパク質を構成するアミノ酸やDNAの正体である核酸は除く。また、植物から抽出した天然由来のアルカロイドに手を加えたもの(例:LSDやヘロイン、覚醒剤のヒロポン)や、天然由来のアルカロイドの分子構造を参考に人間の手で化学的に合成されたもの(例:覚醒剤のアンフェタミン)もアルカロイドと呼ぶ。

 現在までに3万種以上報告されているが、強い生理活性(生体内のさまざまな生理活動を調節したり、影響を与えたり、活性化したりする性質)を持つものが多く、医薬品として重要である。薬と毒は表裏一体なので、薬にも毒にもなる。

 ちなみに、よく知られているアルカロイドには、ニコチン、カフェイン、コカイン、モルヒネなどがある。ニコチンはタバコの成分、コーヒーや紅茶に入っているカフェインには興奮作用がある。コカの木から抽出されるコカインはさらに強力な興奮剤であり麻薬であるが、塩酸コカインは医療用として局所麻酔剤に使われている。モルヒネも麻薬であるが、末期ガン患者の苦痛を緩和する目的でも利用される。

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 なお、ほとんどの幻覚性植物の成分はコカイン、モルヒネのようにアルカロイドだが、大麻では有効成分はアルカロイドではなくテトラヒドロカンナビノール(THC)である。

大麻とマリファナ

 大麻はアサ科アサ属の植物で、麻袋・麻布の麻(アサ)の原料植物と同じものだ。亜麻(リンネルの原料)などと区別するのに大麻(マリファナ)ともいう。その繊維はとても丈夫で、衣服や袋・バッグなどに用いられている。

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 なお、大麻は日本では「大麻取締法」によって規制されている。大麻は麻酔性のテトラヒドロカンナビノール(THC)と呼ばれる化学成分をふくみ、古くから幻覚剤として快楽、宗教、また医療などに利用されてきた。

 大麻の葉や花を乾燥させたものは細かく刻んでタバコのように使われることが多い。樹脂を固めたものを大麻樹脂(ハシシュ、チャラスなど)といい、加熱して気化したものを吸引したり、タバコに混ぜて喫煙したりされている。