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豆腐とそばの“共通点”は…? ひそかに人気が高まる夏の風物詩「豆腐一丁そば」を追え!

2021/08/03
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 実に夏らしい姿で、深めのどんぶりに冷たい生麺のそば、その上をおおい尽くすように、野沢菜わさび昆布、茗荷、かいわれ、海苔、そして小さめの豆腐、ねぎがのる。冷やつゆに浸ったコシの強い冷たいそばを引っ張り出して、夏野菜の薬味やしっとりとした豆腐を崩して食べていく。

豆腐を使ったメニュー「夏の冷しそば」(580円)
このクリーミーさを重視した絹ごし豆腐が実にうまい

 豆腐のサイズは推定で縦5cm・横5cm・高さ3.5cm。クリーミーさを重視した絹ごし豆腐を選んでいるそうで、まさに夏らしいさわやかな味である。老舗のそば屋で遭遇する上品な味に仕上がっている。七味で味変を楽しむのもよいだろうし、朝10時までは無料(10時以降は30円で販売)のサービス揚げ玉をかけてもうまいに違いない。

川崎の激安店「星川製麺 彩」

 最後に川崎の南武線中野島駅から歩いて20分ほどの所にある激安店「星川製麺 彩」で夏季限定で販売している「やっこさんそば」(400円)を紹介しようと思う。「星川製麺 彩」は明治30年創業の製麺所が営業する店で、府中街道から路地を少し入ったところにあるポツンと一軒そば屋である。店は製麺工場の外側にプレハブ増築したような造りで、道路に面している。とにかく安い。「かけそば」(200円)、「焼きそば」(200円)、「らーめん」(300円)。しかも道路に面したテーブル、つまり青空の下で食べることもできる。

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川崎の中野島駅から歩いて20分の“ぽつん系”のそば屋「星川製麺 彩」

 訪問時、空腹だったので「やっこさんそば麺2玉」(480円)を注文したのだが、その姿がまたすごい。一面削り節が覆いつくし、豆腐もそばも全く見えない。他にねぎ、刻み海苔、生姜がのっている。絹ごし豆腐がまさに一丁どっかんと載っていて、薬味をかき分けながら食べるわけである。ワイルドすぎる一杯であった。

ワイルド過ぎて豆腐が見えない「やっこさんそば麺2玉」は夏限定商品

豆腐とそばの古くて新しい関係

「豆腐をのせたそば」は暑くて辛いコロナの夏を一瞬でも忘れさせてくれて爽やかでありがたい存在である。今回、食べてみて感じたことがある。それは豆腐とそばの古くて新しい「付かず離れず」の良好な関係がいまも続いているということである。

 豆腐は冷奴や湯豆腐、またお揚げや厚揚げ豆腐などの揚げ物、豆乳やおからまで広く食べられている。また、豆乳や裏ごし豆腐を寒天で固めてところてん突きで麺にした「滝川豆腐」という洒落た料理もある。そのうち「豆腐一丁そば」を超えるようなさらにユニークなコラボメニューが誕生する日も近いのかもしれない。

INFORMATION

箱根そば 田町店
住所:東京都港区芝5-34-7 田町センタービル1F
営業時間:7:00~20:00(土曜日は15:00)
定休日:日・祝

えきめんや 品川店
住所:東京都港区高輪3-26-26 京急品川駅 1番線ホーム内
営業時間:6:15~20:00

ゆで太郎 新橋赤レンガ通り店
住所:東京都港区新橋5-7-14
営業時間:7:00~20:00(土・祝は15:00)
定休日:日

星川製麺 彩
神奈川県川崎市多摩区菅馬場1-12-16
営業時間:月~土  11:30~14:00(火・木は夜間営業あり 17:00〜19:30、LO19:30)
定休日:日・祝
https://twitter.com/kazu0226ko
(営業時間・定休日などは、お店のTwitterでご確認ください)

 

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