──監獄食堂に行くためだけに北海道までわざわざ足を運ばれたのですか?
緑川 はい、それがメインの目的でした。完全にプライベートの親子旅行です。漫画を原作にした映画『刑務所の中』の撮影で使われた場所も網走監獄の中にあって、「聖地巡礼」的な感じで写真を撮りました。
──網走監獄以外に刑務所は行かれましたか?
緑川 千葉刑務所と府中刑務所に行きました。得に千葉はきれいな煉瓦造りで、“映え”だと思いました。建築家の山下啓次郎さんが設計した明治の「五大監獄」の1つで、千葉のほかには奈良監獄などがあります。奈良は少年刑務所として使われていたのですが、閉鎖されて星野リゾートがそこを改修した「監獄ホテル」を開業することになったと聞いて、宿泊できる日を心待ちにしています。
「刑務所に興味があると聞いて嬉しくなり…」と受刑者から手紙が
──刑務所マニアアイドルとしてのそうした活動を始め、受刑者と文通もされていると聞いています。どういうきっかけで文通が始まったのでしょうか?
緑川 最初にお手紙を頂いたのは、「実話ナックルズ」でコラムを書かせて頂いたのがきっかけです。刑務所用語をクイズ形式で問う企画で、「何問わかるかな?」と、なぜか水着姿の私が登場するんです。そのページに「お手紙待っています!」と一文を添えたところ、拘置所の読者からお手紙が届いたんです。
〈各拘置所には売店があり、「実話ナックルズ」などの雑誌が販売されている。面会に来た人が、被収容者に差し入れできるほか、被収容者自身も現金を持っていれば購入可能〉
──最初に手紙を送って来たのはどんな人ですか?
緑川 罪状は書かれていなかったんですが、何度もムショ入りしていると説明していたので恐らく、シャブ関係かなと思います。最初の手紙には、「刑務所に興味があると聞いて嬉しくなり、手紙を送りました。よかったらお返事お願いします」という感じでした。
──それに対してどんなお返事をしましたか?
緑川 中に入っている人とリアルタイムでやり取りするのが初めてだったので、質問したいことがありすぎて、質問攻めのような手紙になりました。その方は色々な刑務所に入っていたというお話だったので、どの刑務所が一番居心地好かったのか、食事が一番美味しかった刑務所はどこか、部屋はどんな感じか、などと。あとは私の知らなそうな刑務所用語があれば教えてくださいともお願いしました。そしたら、相手もクイズ形式で返事が来たんです。
──どんな刑務所用語を教えてくれましたか?
緑川 「ガルウィング」。英語でカモメの翼の意味で、それに似た形状の飛行機の主翼を指します。ところが刑務所では、悪さをして刑務官に両腕をつかまれ、連行される体勢のことをそう呼ぶらしいんです。通常は「あいつ飛行機されている」と言うんですが、「ガルウィング」とも言うんだと。他には「げそる」。炊事場でご飯をよそう担当が、嫌いな人に対してご飯の量を少なくすることをそう呼ぶみたいです。その反対は「づけ盛り」です。