一日のうちの長い時間を過ごしている“職場”。現在は、リモートワークが普及して状況も変わってきているが、今もなお多くの人がひとつの職場で仕事をしている。

 多種多様な人間が集まる職場には、あなたの味方もいれば、危害を加えかねない危険人物が潜んでいることも珍しくない……。そこで今回は、同僚から身の毛もよだつようなストーカー被害に遭った女性に話を聞いた。

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LINE交換の翌日、連絡が頻ぱんにくるように

 都内の小さな広告代理店でプランナーとして働く桃山美里さん(30歳・仮名)は、3年前にある企業のPR案件を担当することになった。その際、同じプロジェクトに参加していたのが、同僚の男性社員A(当時32歳)。Aの第一印象は「どこにでもいる普通の男性だった」と、桃山さんは話す。

「プロジェクトが立ち上がった頃、チーム全員とLINEのIDを交換しました。その翌日からAからの個人LINEが頻ぱんに送られてくるようになったんです。メッセージの内容は、仕事関連のものから音楽や映画の話などさまざまで、突然スターバックスのギフトカードが送られてくるときもありました」

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 当初、桃山さんは当たり障りない返信をしていたが、朝の挨拶と夜に「おやすみなさい」まで送られてくるようになり、だんだん面倒に感じてきたという。

「1カ月くらいすると食事や映画に誘われるようになったのですが、彼氏もいるし、ムダな時間を過ごしたくなくてすべてお断りしていたんです。でもさすがに仕事仲間に『あなたに興味がない』とは言えないので、その日は先約があるとか、予定が詰まっているとか、適当にやりすごしていました」

 しかし、残念なことに「Aとふたりきりになりたくない」という桃山さんの真意は伝わっていなかった。ある日、Aは「仕事の相談がある」と言い、終業後の桃山さんを近所のカフェに呼び出したという。

「さすがに仕事を持ち出されると断れないですよね。憂うつな気持ちでカフェに着くと、私の分の飲み物まで頼まれてたんです。よかれと思ってそうしてるのかもしれないけど、勝手にメニューを選ばれて喜ぶ人っているんですかね。全然仕事の話もしないし、どんどんイラ立ってきて、自分の飲み物代を置いて帰ろうとしたら、突然“手紙”を渡されたんです……」

 手紙の内容はもちろんラブレター。2枚の便箋には、熱のこもった告白の言葉が綴られていたという。

「Aは私に恋人がいると知っていたので、まさか告白されるとは思ってなかったです。手紙には『彼氏と別れたら、僕と付き合ってください』と書かれていて、まるで私が今の彼氏と別れたがっているような言い草でした。そもそも、別れたら自分のところに来ると思ってるのが意味不明。なんというか、恋する自分に酔っていて、周りが見えないどころか私の気持ちすらも見ようとしていない不気味さを感じました」