――担当編集氏は、ネームを拝見したときにどのように思いましたか?
編集 ゲラゲラ笑いながら読んだのですが、一目惚れしました(笑)。これはぜひうちでやりたい、と。ちょうど「webアクション」がスタートするタイミングだったので、これはその目玉になる予感がして、即決しました。
――「webアクション」では倫理的にNGはなかった?
編集 本作に関しては問題ありませんでした。福満さんは「『実際に悪人と善人を食べ比べたけど味が同じだったぞ、ウソ描きやがって!』と抗議してくる人はいないはずです」って言っていたんですけど、確かにそのとおりなんですよね。
――それ自体、人を食ったような話ですね。
編集 さすが福満さんだな、と思いました(笑)。
――福満先生はエッセイマンガのイメージが強いですが、今作をストーリーマンガにした理由は?
福満 エッセイマンガも言うほど売れているわけではなくてですね……。実は双葉社さんにもエッセイマンガの案は蹴られているんです……。
編集 (笑)。いや、福満さんのストーリーものが読みたいと思っていたんです。福満さんが「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載していた『中2の男子と第6感』がすごく好きで、最終回は号泣しながら読んだくらいです。確かに福満さんはエッセイマンガで世間に認められた人ではあるんですけど、ストーリーマンガもすごいぞ、という思いがありました。ですから、一緒に仕事をするからには、ストーリーマンガをお願いしたかったんです。
人肉食をテーマにしたのは「落ち目になったバンドマンが再起を図る、みたいな感じ」
――福満先生はデビュー作『娘味』( 青林工藝舎『福満しげゆき初期作品集 娘味』収録)でも人肉食を題材にしていました。今作『ひとくい家族』でも人肉食を扱った理由をお聞かせください。
福満 それは……ですね、ちょうど打ち切りなどのトラブルが続いて、総合的にうまくいっていない時期だったんです。それで、横になってフテ寝をしていて……。そのときに「いや、これじゃいかん。こういうときこそ頑張るんだ!」という気持ちになりまして……。
それで、何か描くにあたって昔の魂を取り戻すためには、デビュー作で描いたものをもう一度やるべきだ、と。落ち目になったバンドマンが再起を図る、みたいな感じでしょうか。初期の頃の魂を取り戻そうという意気込みで、デビュー作でやったテーマをもう一度やってみたところなんです。