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「アホやな清」バラエティで助けてくれた恩人

――YouTubeチャンネル「前川ちゃんねる」などで和気あいあいとされている現在のおふたりを見ると、そういう葛藤や苦悩があったとは思えないですよね。なにが雪解けのきっかけになったのでしょう?

紘毅 それから2、3年経って、『Oh!どや顔サミット』という、浜田(雅功)さんの番組に呼ばれたことですね。収録前に、トイレで浜田さんと一緒になったんですよ。

「よろしくお願いします。めちゃくちゃ緊張しています」といったら「なんでやねん。そんなん言うても、しっかり用を足しとるやん」「おまえ、おもろいな。電話番号よこせ」と、電話番号を交換していただいたんです。

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 それで収録が始まったら、浜田さんが「おい、紘毅」って呼んでくれて。いままでは親父に気を使っていただくこともあって、紘毅で活動していても「前川さん」「前川くん」と呼ばれていたわけですよ。そうしたなかでの「おい、紘毅」「コラ、紘毅」「紘毅、なんかおもろい話ないんか」が嬉しくて。

 

「うわー、下の名前で呼んでくれた。しかも、ただでさえ読みにくい名前なのに」と思ったんですよ。なんていうか、親父とか関係なしに僕を見てくれているというか。

――なるほど。

紘毅 そう思えたら、番組でもバァーっと親父の話をすることができたんですよ。それまで二世ネタの番組に出る際には親父から「いいお父さんみたいな話はするなよ。バカっぽいから。どうしても話さないといけないなら、親父がなんかやらかしたとか笑えるのにしとけ。そっちのほうが、バカっぽくならないから」と言われていたんです。

 でも、息子の僕が「親父はこんなバカなんです」と言うと、「いやいやそんなことないです」と皆さん否定してくださるんですよね。そうすると、なかなかおもしろいエピソードとして成立しない。そこを浜田さんが初めて「アホやな清」というほうに回ってくださったおかげで、スタジオでドカンドカン受けた。

 収録後に浜田さんが「清さんに、いろいろ言うたけど大丈夫かな? すんまへんって言うといてな」と言われたので、親父に番組の様子を兼ねて浜田さんの言葉を伝えたんです。親父のほうも「おお、そうか。いいじゃないか」と喜んでくれて。そこからですね。なんか話せるようになって、一緒にいろいろとできるようになったのは。

 

――浜田さんの巧みなフォローがあって良い意味での“バカ親”になったといいますか。

紘毅 僕が親父の悪口を言うだけだったら「なんだ、このバカ息子は」ってなるけど、浜田さんが一緒になって言ってくれるからエピソードとして完成して笑いになるし、「清よりも紘毅のほうが、もっとバカやないか」というオチもつくんです。嬉しかったし、すごく学びましたね。