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 高齢者が食べたり飲んだりする機能が弱まることを如実に表しているのが、毎年、お正月のころの、もちをのどに詰まらせて救急搬送される事故のニュースです。

 東京消防庁の発表によると、2021(令和3)年の元日夕方までに、もちをのどに詰まらせて救急搬送された人は5人。

 そのうちの1人が死亡し、ほかの4人も心肺停止などの重体です。

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 団子なども含むもちによる窒息事故は、1月と12月に集中しています。

誤嚥を起こす原因

 東京消防庁の調査では、2015年から2019年までの5年間に東京都内で団子などを含むもちによる窒息事故で救急搬送された人は、1月が最多で177人、12月が63人でそれに次ぎ、2月の41人、11月の33人と続きます。

 実は、こうしたもちによる窒息事故の被害者の多くが高齢者です。

 東京消防庁のデータによれば、2015年から2019年までの5年間にもちが原因の窒息事故で救急搬送された463人のうち、65歳以上の高齢者は412人。

 なんと、全体の9割近くを占めています。なぜ、高齢者は、それ以外の年齢層の人に比べて、これほどもちをのどに詰まらせやすいのでしょうか?

 最大の原因は、飲食物を飲み込むための嚥下機能が高齢になると低下するからです。

 人間はものを飲み込む直前に息を止め、その直後に息を吐くことで、気道をふさいで、食道に食べ物を通します。

 この動作がスムーズに行われなくなると、食べ物が誤って気道に入る誤嚥を起こします。

年齢を重ねるにつれ嚥下機能が低下

 健康な人でも、50代になると飲み物や唾液が食道のほうに流れず、思わずむせてしまったという経験がある人も少なくないでしょう。

 そんなときには、誤嚥を起こしかけているのです。

 人は年齢を重ねるにつれ、口やのどの周辺の筋肉、神経が衰えていきます。

 その結果、嚥下機能が低下して、誤嚥を起こしやすくなるのです。

 液体ならまだしも、もちのような粘り気の強い固体を誤嚥すれば、ただでは済みません。

 こうして、本来ならおめでたいはずの新年早々に、高齢者がもちをのどに詰まらせて救急搬送されるという悲劇が繰り返されるのです。