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後を絶たない “もち窒息事故”…それでも94%のデイサービス施設が口腔ケアを行わない“意外なワケ”

『道路を渡れない老人たち』より #2

note

 介護保険でも口腔ケアは受けられます。

 介護支援の1つに、ぜひ忘れずに入れてほしいものです。また、「パ」「タ」「カ」「ラ」の4文字を各5回ずつ大きな声で連続ではっきりと発声したり、早口言葉を言ったりすると、口周りの筋肉を鍛えられるので、日々の生活の中で心がけてみてはいかがでしょうか。

食事によって身体機能を失う老人たち

 口腔ケアの大切さを述べたうえで、もう1つ重要なのが、食事です。

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 先ほど「栄養が足りていない85歳以上の女性が約3割いる」と述べましたが、明らかに栄養が足りない食事をしている方が高齢者で多く見受けられます。

 身体機能を司る筋肉は、運動をするだけでつくわけではありません。

 きちんとした栄養があって、初めてつくものです。

 以前、こんなことがありました。リタポンテに通っていて、真面目にリハビリに打ち込んでいるのに、どうしても身体機能が上がってこない方がいらっしゃいました。

 何が原因なのだろうといろいろ考え、本人にもいろいろと生活の面で聞いたところ、食事に問題があることがわかったのです。

一食ごとに栄養のあるものを食べることの重要性

 おかし、特にポテトチップスが大好きで、食事と食事の合間に、ついついつまむ。そうすると、おなかが減らないので、菓子パンなどで簡単に食事を済ましていたのです。

 特に、高齢になってくると、お腹が減りにくくなります。

 若いときほど、量も食べられません。

 だからこそ、一食ごとに栄養のあるものをしっかりと食べることが必要です。

 特に、大切なのは肉類。筋肉をつくるたんぱく質が、たっぷり含まれています。

 もし、肉を食べるのが負担だというのであれば、プロテインなどのたんぱく質補助食品を摂取するというのも1つの手です。

 たんぱく質をとる。それが、リハビリとともに、身体機能を弱らせないための1つのキーワードになります。

【前編を読む】「超高齢社会」なのに「介護後進国」!? 日本で幸せな老後を送るために知っておきたい“3つのポイント”

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