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特集観る将棋、読む将棋

2021/10/23

 それでチカラを入れて研究し、考え抜くという。才能の差があったとしても、研究量を増やしてカバーするのだという。実際NHK杯では、藤井二冠が得意とする角換わり戦法を受けて立って勝利を収めた。才能の多寡をうんぬんしても仕方がない。今できることに全力を注ぐことの積み重ねで明日を迎えているのが木村九段だ。

 それでは、才能を補う勉強とはどんなことなのだろう?

「まあ、AIだけを使って勉強する棋士も確かにいるのです。一方で永瀬さんみたいに、実践を積み重ねるたたき上げという感じの人もいますので、勉強方法は人それぞれですね」と語る木村九段。AIを使った勉強もしながら、練習対局も行い、時には研究会で知識を深める。自分なりの勉強方法を確立してきた自負があるように見える。

 それでも、試行錯誤しながらそのバランスをとっているのだろう。毎日を自分を鍛える新たな将棋研究のスタートにしている。余計なことを考えずに、今日一日に出来ることに集中する。これは言っているほど易しいことではない。

 目標を立て、そこに向かって努力を重ねる。

 一見、あるべき姿に見えるけれど、目標の設定も、継続の努力も、すごく難しい。

 ならば、もっと近視眼的でも良いのかもしれない。

 今日一日に出来ることに、自分に出来ることに、全力を注ぐ。

©深野未季/文藝春秋

持って生まれた才能を比較することには何の意味もない

 勉強法は、棋士それぞれと言われているが、当然、狭い業界内なので影響は受ける。AIを使った研究で藤井二冠や豊島竜王が席巻すれば、当然他の棋士も影響される。木村九段もAI研究を取り入れている。しかし、各棋士によって、AIへの接し方は当然異なる。