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連載サウナ人生、波乱万蒸。

姉妹の病気、家業を継いでほしい父とのバトル… 33歳IT企業の女性社員が、奈良県で“サウナ付きホテル経営”に“転身”した理由

ume,yamazoe#1

2021/10/12

 名古屋駅から電車に揺られ90分。近鉄名張駅から送迎車で山中に入って行く。

 見えてくるのは手つかずの自然が残る集落、山添村。

 急な坂を登ると視界が開け、そこに佇むのは美しくリノベーションされた古民家。

 裏の庭には薪ストーブのフィンランドサウナ。

ログハウスの木の香りと、優しいあたたかさ

 ひとたびサウナ室に入ると中は真っ暗で、温度はそれほど高くない。しかし、じんわり体の内側から暖まり、ゆっくり汗が出てくるのがわかる。かすかに聞こえる薪の燃える音。

 ロウリュをすると蒸気がゆっくりと立ちのぼり、ログハウスの木の香りと、優しいあたたかさに身体全体がくるまれていく。

 

 

 

 良質で冷たすぎない水風呂に入り、ほっと一息つく。サウナ小屋外壁の階段から屋根にのぼり、椅子に腰を下ろす。眼前には墨絵のようなシルエットが連なる山々。

 眼下には郷愁を誘う集落がひっそりと肩寄せあうように佇んでいる。ここはさながら天空の城。

 
 

 

圧倒的なロケーションで究極にととのう

 澄んだ空気に包まれ、目をつぶれば遠くで聞こえる鳥の声、虫の音。

 人間の生物としてのDNAが呼び覚まされ、種として本来の姿に戻っていく感じすら覚える。

 そして、今自分がどこにいるのかすらわからなくなっていく…。

 圧倒的なロケーションと美しい思想で古民家を改装した唯一無二の宿泊施設、ume,yamazoe。