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 これを見越してか、その前日の9月1日には韓国で活躍するSEVENTEENの中国人メンバーふたりが、コロナを理由に突然帰国する事態も生じた。『ガルプラ』でも、27人にまで残った中国勢の参加者シュイ・ズーインが、突然体調不良を理由に撤退した。彼女がオーディションから去ったのは、9月20日頃だと推定できる。

『ガルプラ』も、国際政治状況とは無縁ではいられなかった。

Kep1erをこれからも待ち受ける「政治リスク」

 厳しい状況が続いても韓国のエンタテインメント企業が中国市場に打って出るのは、すでにコンテンツが輸出産業として十分成立している背景もあるが、その前提となる固有の事情がある。

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 大国に囲まれた韓国(朝鮮半島)は幾度も日本と中国から侵略された歴史を持ち、現在は分断国家だ。そのなかで韓国におけるコンテンツは、他国(民)を味方につける「ソフトパワー」(ジョセフ・ナイ)の機能を持つというコンセンサスがある。

『ガルプラ』もまた、こうした東アジアにおいて韓国のプレゼンスを確保するひとつの方策だ。もちろん今回それがどれほど上手くいったか、あるいは今後も上手く機能するかはわからない。ただ、目的はそれだ。

 このオーディション番組では、参加者に投票する視聴者を「ガーディアン(=守護者)」と呼んでいた。彼女たちの「夢」を守るための投票という名目だった。それを踏まえれば、今後もKep1erを応援するファンに求められるのは、政治などによって翻弄されるリスクをはらむ9人を守ることにほかならない。今後の注目はそこだ。