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「設計図を最初に見たとき正直、『勘弁しろよ』と…(笑)」打倒アイコス最前線!加熱式タバコに今に何が起こっているのか

業界3番手「Ploom X」の挑戦

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「『勘弁してほしいな』と思いました(笑)」

――なるほど。しかし、それだけ熱くして大丈夫なんですか? 歴代の製品を見ているとそれほど大きくないので、熱を持ちそうですが……。

桝田(設計担当) 製品全体が曲面で構成されていて、しかもアシンメトリーな形なので、構造設計の立場からも「勘弁してほしいな」と思いました(笑)。デザインに平面をもらえると、そこを基準にして設計がしやすいんですが、間口がだんだん狭くなって、すぼまっているので。

桝田さん

井上 「たばこ」として機能するためには、どうしても必要な構造物があります。たとえば、本体内部の加熱炉をチャンバーと呼びますが、このチャンバーで加熱し、スティックを支え、熱い空気を折り返してスティックを内部から温める、3つの機能を同時に満たす機構になっています。チャンバーの形には、かなり工夫をかけています。モノを作るとき円形は作りやすいのですが、変形させたチャンバーを作るのは技術的なハードルが高い部分でしたね。

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塩月 この商品で推したかったのは、喫煙体験自体を楽しんでいただくことです。まず手に取って楽しめるという意味で、見た目は大きなポイントでした。そこで採用したのが「ナストロデザイン」です。Nastroはリボンを意味するイタリア語で、流線形で切れ目がなく、表面にボタン類のないデザインになっています。目に新鮮でありながら、持ち心地のよさを実現したかったんです。

桝田 今回の製品はデザイナーにもこだわりがあって、構造的には横からネジを打てたら強度が上がると提案しても、外観はシームレスにしてツルッとさせたいということでした。そのコンセプトをクリアするための構造の工夫は、結構頑張ったところですね。

こちらが過去のモデル
こちらが新しいPloom X

――なるほど、デザインが重要になるだけに、もう現場の苦労でカバーするしかないと……(笑)。

井上 吸える残り時間を示すLEDが、波がサァーッと上がるようにきれいに視覚化されていますが、桝田さんは非常に苦労されてましたね。私は横で見ていただけですけど(笑)。