――表彰まで! YouTubeを始めたことで、他の社員さんにも効果はありましたか?
渡邉 弊社は書店なので、基本的には本を売るのが仕事です。YouTubeは本社の数名で始めたので、最初は「また本部が変なことやってるな」と思われていたのではないかと。
でも徐々に、店舗へお越しのお客様から「YouTube見てます」とお声がけいただくようになりました。『本のカバー掛け』の回では、購入書籍にかけるオリジナルの10色紙カバーを紹介したので、レジで実際にカバーをかけたり、YouTube告知用のしおりを差し上げると喜ばれることも増えたようです。
鈴木 YouTubeきっかけでご来店されたり、本や文房具が売れるのを見て、店舗スタッフの意識も変わりつつありますね。
髭男『Pretender』を古文訳で歌う謎のバイト女子
――チャンネルには岡﨑さん以外の書店員さんも登場しますが、皆さんパンチの効いた逸材揃いですね。《J-POPを古文訳して歌うハイトーンボイス清少納言》とか。
鈴木 アルバイトの折橋さんですね。彼女の《古文訳》シリーズは6作あって、どれも人気が高いです。
――Official髭男dismの『Pretender』やDISH//の『猫』、山口百恵の『プレイバックPart2』などの歌詞を古語にあてはめて歌ってますよね。しかも美声で。古文詞も、ちょっと感動するレベルでした。
渡邉 折橋さんは今年から高校の先生になったので、残念ながら有隣堂を卒業していますが、他の書店員たちは全員現役です。
趣味の域を振り切った“推し”を持つ社員たち
――《業界で最も雑誌の紐かけが早い》細川さんや、《ブックカバーかけでタモリ倶楽部に出演した》大平さんはベテラン社員。書店技を極めた達人ですね。
鈴木 そうですね。特技に加えて、本人たちのキャラクターも尖ってますね。
――大平さんの『自由研究』の回では、ご本人のフリーダムさがフルに発揮されていました。
ハヤシ あのブッコローが押されてましたね。
――あとは、《バレーボール漫画33作品の詳細をエクセルの表にまとめている》瀧口さんや、《書店をプロレスで私物化した》佐藤さんの回も印象的でした。
鈴木 2人とも趣味の域を振り切った“推し”を持っていますよね。
――こういう話題は普通の会話では出てこない気がします。皆さんの推しや隠れた才能は、どうやって見つけるんですか?
鈴木 書店の現場だと、品出しなどみんなで同じ作業をすることが多いんですね。そうすると徐々にスタッフ同士で「この人、こんな本に興味あるんだな」「このジャンルの新刊が来ると、あの人のテンションが必ず上がってる」などがわかってくるんです。