私の後ろの窓から大きな木が見えるじゃないですか。その隣に、大きな木がもう1本あったんですよ。家主さんが亡くなると敷地にある木も死んじゃうなんて話を聞いたことがあるんですけど、その木が今年の6月くらいに病気で腐っちゃったの。
なにをやっても治らないって言われて。処分するにも大きな木だったのでクレーン車を呼ばなきゃいけなくて、見積りしてもらったら30万円と言われて。
うちの敷地って、端から端まで、下から上までを、父が少しずつ買って拡げていったんです。所有している土地のものがダメになったら、こちらがきちんとやるのは当然。
でも、掛かる金額が東京とこっち、賃貸マンションと一軒家でぜんぜん違うんですよ。私は東京では賃貸だったんですけど、その木の処理代を高いとは思ったものの、なぜか無駄だとは感じなかったの。
それに気付いた時に、価値観が変わりました。賃貸にお金を払うんだったら、この家を綺麗にすることにお金を使ったほうがいいなって。
時間の流れがゆったりしてるから、生活も変わる
——ここに住んだらマインドが変わってしまうのは理解できる気がします。こうやって取材をしていても、のびのびしてしまうといいますか。やはり、ゆったりと毎日を過ごされているのでしょうか。
アンナ 以前から早寝早起きだったので、そこは変わらないんですよ。でも、太陽を浴びるようになりました。これまでは太陽を見る、だったけど、ここでは浴びることができるんですよ。
そういうことを実感する朝から始まるのね。そうすると、時間が止まるんですよ。そもそも時間の流れが東京と違う。
暑いのもあるけど、ゆったりしてるから着る洋服も変わって、毎日こんなカジュアルな感じです。東京から大量の服を持ってきたけど、なんだか着る気になれなくて。
でも、東京よりは真鶴の暮らしのほうが、いまは合っている気がする。Uber Eatsなくてもいいやって。なきゃないで大丈夫って。
それにインターネットがあれば、生活は成り立つし。ただ、うちは4階建てなんだけど、鉄筋コンクリートだからWi-Fiが全然届かないの。死活問題なので、1フロアごとにルーターを置いてます。