2022年の国内政治は安定に向かうだろうか。残念ながら答えはノーである。
たとえ新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとしても、夏には参院選が待っている。結果次第で与野党ともに流動化していく可能性がある。参院選で自民党が大敗し、首相=総裁が交代した例は、過去にもある。今回も激しい政治決戦となるのは確実だ。
「だからこそ」問いたいのである。
そもそも参院の役割とは何か。22年は、この長く手つかずのままだった重要課題に取り組む年にしなくてはならないと私は考えている。本稿は21年10月の衆院選結果が出ていない段階で執筆していることを、あらかじめお断りしておく。しかし、実は21年も、与野党は次の参院選を見据えて戦ってきたことをまず指摘しておく必要がある。
「最優先は自分の選挙」本音があからさまに見えた「菅首相退陣劇」
自民党から見ていこう。菅義偉前首相が総裁選に出馬せず、退陣を表明したのは9月3日だった。当初、菅氏は東京五輪とパラリンピックが開催されさえすれば、日本選手のメダルラッシュで盛り上がり、新型コロナで国民の間に鬱積している不満や不信は消し飛ぶと見ていた。閉幕する頃にはコロナワクチンが一定程度行き渡り、その効果も表れているはずだ。そこで9月に臨時国会を開き、間髪を容れずに衆院を解散して総選挙に突入すれば、自民党は一定程度の議席が確保できる。そうなれば、後の自民党総裁選での再選は確実になる――。
こんなシナリオがもろくも崩れ去ったのは周知の通りだ。追い詰められた菅氏は一時、それでも電撃的に解散に踏み切ろうとしたが、一か八かの奇策も安倍晋三元首相らに猛反対されて万策尽きた。
わずか1年前、自民党の各派閥が「勝ち馬に乗れ」とばかりにこぞって菅氏を支持し、盤石の体制で発足したはずだ。にもかかわらず、支持率が低落すると、たちまち「菅首相のままでは秋の衆院選は戦えない」と見放す。「最優先は自分の選挙」という議員の本音があからさまに表れた退陣劇だった。