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「安い・早い・うまい」が売りでも、来年は“値上げ”待ったなし…? 2021年の立ち食い・大衆そばをふりかえる

2021/12/21
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2022年、大衆そば業界はどうなる?

 上記の5つの予測は2022年も進んでいくと考えている。さらにこれらに加え、すでに始まっているところも多いのだが、2022年は「予測6:コスト高による値上げラッシュがやってくる」ことが予想される。

 実は大手チェーンの中で「ゆで太郎」は今年5月、「箱根そば」は12月に10~20円程度値上げした。他の大手も値上げに踏み切る可能性は高い。大手製麺所でも来年早々茹で麺で20円~30円の値上げをすでに通知しているところもある。

 大手の動きを見て、個人店も値上げすることが予想される。「一由そば」も12月に10円の値上げを行った。それだけではない。天ぷら用の油製品、小麦粉、ちくわなどの練り物、醤油、出汁などもすべて値上りしている。大衆そば屋も値上げが待ったなしである。

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うまい年越しそばを食べて新年を迎えたい

 そこで提言だが、「安い・早い・うまい」という概念が崩れてしまうことにはなるのだが、どうせ値段が上がるのなら、だぶつき気味な国産のそば粉を中心に使った高付加価値そばのメニューを増やしてもいい時期が来ているように思う。

 また、「予測7:他の外食や異業種からの大衆そばへの進出が増える」と思う。HISが始めたそば屋「満天ノ秀そば」は「飯田橋店」(昨年11月)、「神田店」(1月)、「四ツ谷店」(2月)、「西葛西店」(8月)、「府中店」(12月)と店舗を増やしている。日本レストランシステムが経営する「蕎麦いまゐ」も「四谷三丁目店」(昨年7月)に続き、「自由が丘店」(12月)がオープンしている。コロナ禍に静かに参入した雰囲気はあるが、今後大きな勢力になる可能性も秘めている。

 コロナ禍に苦しんだ2年が過ぎようとしている。はやく終息してもらいたいのだが、オミクロン株もあり、その道のりはまだ先になるだろう。今年はうまい年越しそばでも食べて災厄を落として2022年を迎えたいものである。皆様も良い年をお迎えください。

「安い・早い・うまい」が売りでも、来年は“値上げ”待ったなし…? 2021年の立ち食い・大衆そばをふりかえる

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