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私が釣りとYouTubeを辞めるとき

 釣りを始めたとき、最初のころは1人でやっていても面白いなと思った。ところが次第に、面白いけど、何か物足りないなと感じるようになった。

 それが何なのかを考えていくうちに、他人とその面白さを分かち合えないことが物足りなさの原因だとわかった。私は、魚が釣れたときの興奮や喜びを誰かと共有したかったのだ。さらに、見ている人たちからも、「すごい!」と言ってほしかったのかもしれない。

 そこで思いついたのが、皮肉なことに、バンド活動中にはプレッシャーになっていたツイキャスでの生配信だった。

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(ツイキャスをすれば、釣りの興奮や喜びを共有できるし、コメントももらえる!)

 

 もともと人前に出たり、歌ったりするのは好きではなく、私はそれが嫌でバンド活動も途中で辞めていた。ところが、バンド時代に培った生配信の経験が、その後、思わぬ形で生かされていく。

 釣りの動画を始めてみてわかったのは、私は基本的には目立ちたがり屋であり、歌う姿を人に見せるのは苦手な一方で、好きなことをしている姿を見せるのは好きという事実だった。この発見は、これからの自分の人生にとって大きな羅針盤のようになってくれると思う。

 

 今は釣りのことで頭がいっぱいだ。だがこの先、釣り以外で何かやりたいことが見つかったら、釣りから離れてそっちにのめり込んでしまう可能性だってある。

 YouTubeに関しても同じで、今はすごく楽しいし、好きなのでこれからも続けていく。ただし、ほかに熱中できるものが見つかったら、おそらくすぐにそっちに移っていくだろう。自分を変化させなければならないときに、釣りとYouTubeに縛られて、変化できないという状況だけは避けたいと考えているのだ。

 とは言っても、今すぐに何かを大きく変える予定はない。当分の間は、怪魚釣りを含めた釣り、そしてYouTubeに全力を傾けていく。

 

撮影=澤村洋兵

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