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「我々が勝つものだと思っていた」

 日本シリーズの興奮から数日が経過した後、どうしても尋ねたいことがあった。激戦を制した高津監督に、こんな質問を投げかけてみた。

「監督ご自身は、本当に《絶対大丈夫》だと、ずっと信じていましたか? 不安になりそうな自分に対する自己暗示のような思いはなかったのですか?」

 意地悪なインタビュアーの内心には「はい、本当はビクビクでした」と苦笑を浮かべる指揮官の姿が浮かんでいた。しかし、高津監督の言葉には一点の迷いも、曇りもなく、それは実に力強いものだった。

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「僕自身、《絶対大丈夫》と思っていましたね。少しの緊張と大きな興奮の中で、やるべきことはやって不安はなかったですし、“我々が勝つものだ”と思っていましたから」

就任当初の高津臣吾監督 ©文藝春秋

「我々が勝つものだと思っていた」——。なんと力強い言葉であろうか。高津監督の師である野村克也氏は、かつてこんな言葉を残している。

「選手たちは監督のことをよく見ていますよ。監督が心の中で思っていることはすぐに見透かされる。だから、監督の考えや言葉に迷いがあってはいけないんです」

 野村との出会いによって野球人生が開花したと語る高津監督の中には、確実に「野村イズム」が息づいていた。2年連続最下位からの劇的すぎる日本一。その陰には、「高津臣吾の言葉」があった————。