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偏差値60以上で、女子を受け入れる学校はたった3校だった

 2005年度までは、近畿圏の中学受験において、各府県のトップ校はいずれも男子校だった。言わずと知れた兵庫県の灘中学、その次点とされている甲陽学院中学、大阪府の大阪星光学院中学、奈良県の東大寺学園中学、これらすべてが現在もなお男子校である。

  京都府も洛星中学・洛南高附属と男子校の二強状態で、奈良県ナンバーツーであった西大和中も2013年度までは男子校だった。

  そのため、過去の近畿圏では、女子が受験できる難関中学の数は男子に比べて少なく、かつ府県トップとされる学校を選ぶことはできなかった。洛南高附属が共学化した2006年度の中学入試でいえば、偏差値60以上の学校で男子が受験できる学校は8校、女子が受験できる学校は洛南高附属を含め3校だった(※2)。

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 さらに、入試日程上、女子の併願パターンが限られていたことも影響し、男子と女子の受験校の選択肢には差があったのだ。 

女子の合格者最低点のほうが40点高い「洛南高附属」

  上記3つの元男子校のうち最初に共学化したのが、洛南高附属だ。

 共学化初年度である2006年度入試の合格者数は、男子263名、女子64名と男女で大きく違いがあった(※3)。洛南高附属は募集定員を男女別で公開していないが、合格者数の男女差はその後も顕著にあり、事実上の男女別定員制を設けていると考えられている。

  ただでさえ女子が受験できる高偏差値帯の中学校が少ない中で、洛南高附属が共学化すればそれだけで女子の人気を集めることは十分予想されたが、女子の合格者枠の狭さから、倍率や合格目安偏差値は男子に比してより高くなった。その結果、偏差値が1違うだけでブランド力に大きく差がついてしまう中学受験界で、洛南高附属は一気に‟関西女子最難関”の座に躍り出たのである。

 共学化から15年経つ現在も依然として、洛南高附属の男女の合格者数には大きな差がある状態だ。

 昨年実施された2021年度入試では、女子合格者が81名、男子合格者が219名。たった400点満点の入試で、専願者の合格者最低点は女子の方が男子より40点も高くなっている(※4)。