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「入学後は同じ授業を受けるのに…」中学入試の合格ラインに男女で40点もの差、その正当性は?《関西にも「男女別定員制問題」》

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女子の合格最低点が18点高い「西大和」、約40点高い「高槻」

  西大和中は2014年度の募集から中高ともに男女共学となった。

 同校は、共学化以前から、難関大学の合格実績を伸ばしていることで注目を浴びてきた。近年は、東京大学への合格者が関西では灘高校に次ぐ数字となっている。2015年には『田舎の無名高校から東大、京大にバンバン合格した話―西大和学園の奇跡』(主婦の友社)という書籍も出版された。

  同校も共学化以降、女子の募集が少ない男女別定員制を採用し続けている。2021年度入試の募集人数は男子180名、女子40名と大きく差がある。男女の合格者最低点は500点満点で18点の違いがあり、女子の方が高い(※5)。

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 2019年度には同じく500点満点で56点もの大差がついていた(※6)。

  高槻中が男子校から共学化したのは2017年度と最近である。2021年度入試における募集人数は男子180名、女子90名であった。

 男女の合格者最低点はA日程で約40点差、B日程で12点差と、やはり女子の方が高い結果だった(A日程は400点満点、B日程は320点満点)(※7)。

出典:※4、※5、※7より

解消されない、女子中学受験生の不利益

  これらの学校が共学化した結果、近畿圏で女子が受験できる中学の選択肢は増えた。しかし、共学化したいずれの学校も女子の定員は少なく、また、以前から府県トップであった学校は現在も男子校のままである。男女の選択肢の差が完全に解消されたとは言えないだろう。

  また、日本ではいまだに東大など難関大学の女子入学者が増えないのが現状だ。その中で、上記3校はいずれも難関大学の合格実績を大々的にアピールしているトップ進学校である。

 そのような進学校が「女子生徒の数を少なく設定した」男女別定員制を採用していることは、難関大学のジェンダーバランスを固定化することに繋がりうるという指摘もある。

 このような疑問から、今回上の3校に対して、「文春オンライン」編集部を通じて質問状を送付した。

 質問状の要約は以下のとおりである。質問項目全文と各校からの回答は記事の末尾に掲載する。

【質問状 要約】

Q1、2:女子の合格者が少ない男女別定員制を採用している理由、廃止予定の有無。

Q3、4:合格者最低点の男女差に対する見解、合格者最低点の男女差によって何人の女子受験生が不合格となっているか。

Q5:現在以上に女子生徒の数を増やすとすれば、具体的にどのような環境整備が必要になると考えているのか。

Q6:トップ私立中学の男女別定員制が難関大学の男女比にも影響を及ぼしているとの指摘に対する見解。

  西大和中、高槻中からは期日までに回答を得た。なお、洛南高附属からは、入試業務が立て込んでいることを理由に、回答を得ることができなかった。