毎年恒例の企画「本当によかったホテル&旅館」。2021年も年初はコロナが影響したものの、4月以降は月間28~30泊と取材やプライベートで精力的にホテルを巡り、結果として270泊近くの宿泊となりました。
数年前からホテル業界は激変の渦中にあります。訪日外国人旅行者需要が支えたホテル活況時代から一転、コロナ禍、東京オリンピック延期、ホテルの営業休止・廃業などで苦しい状況に…。一方で、徹底した感染症対策や様々なアイディアの打ち出しなど、逆境に対峙する頼もしいホテルの姿もありました。そして、最近では開業するホテルも目立ちつつあり、新たな旅のスタイルを意識したホテル新時代の幕開けすら感じます。
今回は3ヶ月ずつ4回の記事に分け、2021年に泊まったホテルを順番にご紹介します。宿選びの指針としていただけたらこの上ない喜びです。
※記事中の情報は訪問時のもの。廃止されたサービスや閉館したホテルもあります。また、写真は別日取材、再訪時に撮影されたものも含まれます。実際の利用に際しては公式サイトなどでご確認ください。
※1、2月は緊急事態宣言発令中のため宿泊無し。
3月1日(月)DESIGN HOTEL BLAX(東京都八王子市)
緊急事態宣言のため東京圏から出なくなってかれこれ2ヶ月以上(正確には67日間)、車で近郊の取材をスタート。まずは密を避け、八王子駅近のレジャーホテル(ラブホテル)「DESIGN HOTEL BLAX」へ。クローズドなイメージの業態にしては少々変わっており、パチンコホールをリノベしたレジャーホテル+コミック5000冊のネットカフェの複合という新鮮なイメージ。
客室とは別に半個室のPCルーム、オンライン会議や女子会向きのシアタールームも。レジャーホテルとネットカフェの共有フロントというのは、人件費削減だけでなく、レジャーホテルのフロント問題(ラブホテルが訪日外国人に人気だが…「フロントの窓が小さすぎて困惑」問題/https://bunshun.jp/articles/-/13013)への対策にもなり、いろいろな意味で興味深い。
インルームダイニングも充実しており、レジャーホテルお得意のハイコスパ祭り。飲み放題2時間550円、シャンパンも市価。デザインからフードメニューまで手がけるプロジェクトリーダーのセンスが発揮されており、ほぼ満室もうなずける。業態のボーダレス化を肌で感じた久々の八王子ステイだった。
3月13日(土)かがり吉祥亭(石川県加賀市)
温泉と渓谷美で知られる石川県加賀温泉郷の山中温泉は、情緒あふれる温泉街。コロナ禍ということもあり、温泉街全体で相当の気遣いがみられたが、明るくポジティブな雰囲気にも包まれていた。1300年の歴史を有し、今なお多くの文化が息づく。九谷焼や山中漆器、日本三大民謡の1つとして知られる山中節など伝統美に触れることができる。
全室リバービューのモダンな客室が魅力のかがり吉祥亭へ。同地では吉祥やまなかという同じグループの宿もあり、旅のスタイルに合わせてセレクトできる。野趣あふれる露天風呂が魅力のかがり吉祥亭では森林浴や紅葉、雪見温泉など絶景が楽しめる。また、露天風呂付客室、ベッドを配した客室もあり、同地を代表するクオリティには定評がある。
四季折々の食材を満喫できるが、やはり冬~初春はズワイ蟹を狙いたいところ。ズワイ蟹は3月末までという宿も多いがギリギリ間に合った。