さらに、パジャマのズボンのゴムのところに「ニコニコマーク」を発見。これも記憶があります。
というのも……10年以上前、旦那が海外出張のための支度をしていたとき、私がいたずらを仕掛けたことがありました。マジックで旦那の海パンの裏に「ニコニコマーク」を書いておいたんです。いざ泳ごうと思った時、海パンにニコニコマークを発見したら、旦那はどんな顔をするのだろう? 想像すると笑ってしまいます。
海外出張から帰ってきた旦那は私を問いつめました。
「水着にニコニコマークを書いたでしょ!」
しらばっくれた私。
「ううん」
「あなたじゃなかったら誰が書くのよ、わはははは」
入院患者は、パジャマやタオル、歯ブラシに至るまで、身の回りのものすべてに名前を書きます。ズボンのゴムのところに、10年前のエピソードを思い出した旦那が大きなニコニコマークを書いてくれていたのです。
右手はいつも震えていて、指を曲げることも難しい
12月18日、私は集中治療室を出て、一般病棟に移りました。
その直後からリハビリテーションが始まりました。リハビリの目的は日常生活を送れるようになることです。
1月中には、リハビリ専門の病院に移らなくてはなりません。リハビリ病院の入院期間は3カ月と決まっています。期間限定でリハビリをこなし、日常へ戻っていくのです。
脳梗塞になった患者の多くは足が悪くなり、車椅子生活になることが多いのですが、私の場合は足ではなく、右手に障害が出ました。
私の右手はいつも震えていて、頭上に伸ばすことはまったくできず、指を曲げることも難しく、握力もゼロでした。可能な限り早く理学療法士のサポートを受けてリハビリテーションを開始しないと、機能回復が難しくなります。