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「看護師さーん、200円あげるからきてー」と…左脳の4分の1が壊死した私が体験した、カオスすぎる入院生活

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「OL委員会」の人気コラムニストが忽然と姿を消した理由#13

2022/02/03
note

 さらに、パジャマのズボンのゴムのところに「ニコニコマーク」を発見。これも記憶があります。

 というのも……10年以上前、旦那が海外出張のための支度をしていたとき、私がいたずらを仕掛けたことがありました。マジックで旦那の海パンの裏に「ニコニコマーク」を書いておいたんです。いざ泳ごうと思った時、海パンにニコニコマークを発見したら、旦那はどんな顔をするのだろう? 想像すると笑ってしまいます。

 海外出張から帰ってきた旦那は私を問いつめました。

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「水着にニコニコマークを書いたでしょ!」

 しらばっくれた私。

「ううん」

「あなたじゃなかったら誰が書くのよ、わはははは」

 入院患者は、パジャマやタオル、歯ブラシに至るまで、身の回りのものすべてに名前を書きます。ズボンのゴムのところに、10年前のエピソードを思い出した旦那が大きなニコニコマークを書いてくれていたのです。

右手はいつも震えていて、指を曲げることも難しい

 12月18日、私は集中治療室を出て、一般病棟に移りました。

 その直後からリハビリテーションが始まりました。リハビリの目的は日常生活を送れるようになることです。

うまく言葉が出てこず、忙しい病院風景の中でボーッとしていた

 1月中には、リハビリ専門の病院に移らなくてはなりません。リハビリ病院の入院期間は3カ月と決まっています。期間限定でリハビリをこなし、日常へ戻っていくのです。

 脳梗塞になった患者の多くは足が悪くなり、車椅子生活になることが多いのですが、私の場合は足ではなく、右手に障害が出ました。

 私の右手はいつも震えていて、頭上に伸ばすことはまったくできず、指を曲げることも難しく、握力もゼロでした。可能な限り早く理学療法士のサポートを受けてリハビリテーションを開始しないと、機能回復が難しくなります。