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店を潰してしまう原因にもなる客の振る舞い

 行列の問題は、店側も対策をとらねばならないことですが、客たちによる行儀の悪さを責められてしまうのは、気の毒な話です。短縮営業を余儀なくされたり、最悪の場合は、移転や閉店に追い込まれます。

 まず問題なのは大声で騒ぐ人たち。「店の隣が自分の家だったら……」と想像さえすれば、そんな行いに及ぶわけがないですね。新店オープンや周年イベントなど、極端に長い行列だと、夜間でも酔って騒ぐ人々がいます。楽しい気持ち、飲みたい気分は痛いほどわかりますが、せめて静かに待ちたいもの。

 またよくあるのが、店の隣の家やマンションの、入口や通路をふさぐケース。客自身はたまにしか行かなくても、住人にしてみれば毎日です。玄関の前にわざわざ不似合いなカラーコーンを立て「玄関前を空けて並んでください」と書いてあっても、いっさい読まずに並んでいる人たちが大多数。手元のスマホだけでなく、周囲にも目を配ってもらいたいところ。

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 グループ客にありがちなのが、1列にならず、歩道に散らばったり車道にはみ出すなどの適当な並び方。車からクラクションを鳴らされていたり……。ほかにも、自転車やバイクのいい加減な停め方による通行の邪魔。コンビニなど近隣への無断駐車。ドリンクの缶やペットボトル、煙草の吸い殻のポイ捨て。こうしたことへの文句・苦情が、当の客ではなく、すべて店主へ行きます。

 そして横入り、場所取りなど客同士のトラブル。「場所取りによる横入りはおやめください」という張り紙など、まるで幼稚園のすべり台の列レベルですが、実際に多い。1時間後に家族全員が合流したり、並んでいた部下を見かけた上司がこれ幸いと横入りしたり。また、友だちと一緒だからいいと思うのか、何度も行列を離れる人も。代表だけが並んで、車で待機しているケースは、ご高齢など足腰が悪い方だったりもするので仕方ありませんが、その場合も店員やうしろの人にひと言断ったほうがベターですね。

 近頃の行列店は、予約やデジタル整理券などを活用し、長々と並ばせないようにしているので、トラブルも減少傾向です。ただ、地方に行くと行列の概念がない店があって驚かされます。店頭に群がるだけで、入る順番も適当、偶然会った知り合いが合流しても、揉めたりせずにゆずり合っていたり。ルールを決めなくては機能しなくなる都会からすると、感心しきりです。

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