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血飛沫があがった「襲撃の一部始終」

 以下は、手記に描かれた襲撃の一部始終だ。

事件現場の前橋市三俣町。「スナック加津」は事件後すぐに店を閉め、3、4年ほど前から別の飲食店が営業している ©️文藝春秋 撮影/上田康太郎

《私がスナックの入り口に向かって歩いて行くと、車の助手席から後藤のボディーガードが1人降りてきて、「どこ行くんだよ」などと声をかけてきたのです。私は後藤のボディーガードがポケットに手をつっ込んだままだったので、危ないと感じて右手に持っていたマカロフでこのボディーガードの腹へ向けて1発発射しました。ところが何の反応もなかったので、「はずれたか……?」と思いもう1発発射すると、うつぶせにたおれたので、今度は当たったと思いました。あとのボディーガードは、車から降りてこないように車のうしろの窓に2発威嚇射撃をしました。そのためか車から降りてはきませんでした。

 

 健太郎さんの方は、その間にスナックの店内に入り、後藤を仕留めているようでした。何発かの銃声がしたのでスナックの店内に入ると、入り口近くにくずれるように倒れている人や、店内の中央に倒れている人がいました。私は、入り口から入って左側にあるボックス席で立っていたサングラスをかけている一見ヤクザ風の人にマカロフで2発、店の奥でこっちを向いて立っている人に後藤の仲間だと思い2発発射し、合計8発撃ったと思います。

 

 そして健太郎さんが、私をおしのけて店の外に出ていこうとしたため、私が健太郎さんに対して、「確認したのかよ」と尋ねましたが、健太郎さんは何も答えずに私をおしのけて外に出て行ってしまいました。

 

 私もその後を追って店の外に飛び出した所、健太郎さんに撃たれてしまったのです。弾は右からヘルメットのシールドを貫通して、かけていたメガネのツルに当たり、レンズが粉ごなになり、目に突き刺さりました。ヘルメットとメガネに当たった衝撃で耳は、「キーン」という音しか聞こえなくなり、目はレンズが刺さった痛みで開くことができなくなり、その場でうずくまってしまいました。健太郎さんは近づいてきて、「大丈夫ですか?」などと声をかけてきました。私は、「確認したのかよ!!」と、よく注意もせずに仲間に撃たれたことから、頭にきて声をあらげ、後藤を殺したことを確認したのか聞きました。しかし、健太郎さんから答えはありませんでした。そして健太郎さんは、「まだ動いているヤツがいる」などと言い、ベンツに乗っていたボディーガードに向けて銃をバンバン射っていました》

 その後、小日向と山田は現場を離れた。拳銃などの使用した武器を処理し、迎えの車に乗って群馬を離れた。

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 この襲撃で殺害したのは、スナックの外で殺害したボディーガードをのぞき、すべて一般の客だった。確定判決によると、亡くなったのは後藤組長の部下1人と、男性(56)、女性(66)、男性(50)。男性(50)はスナック内で小日向が射殺していた。ターゲットだった後藤組長は左中指に1発的中したが、命に別条はなかった。