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「とにかくやることがたくさんあって大変だった。でも一番苦労したのは、駅の味を守ることです」と吉田さんは緊張気味に続ける。

宇都宮線のカラーをイメージ

 そのキッチンカーだが、宇都宮線のオレンジとグリーンのラインをモチーフにデザインしている。

「もともと高校生の頃から食べていましたし、仕事で都内に出かける前に必ず小山駅のホームで食べていました。中沢製麺のきそば以外の味だと満足出来ないのです。イベントで子供達にも食べに来て欲しかったので電車で食べているようなキッチンカーにしたかった」と吉田さんは熱く語る。

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キッチンカー「小山のきそば号」は宇都宮線がモデル(撮影 吉田英樹)

「小山のきそば号」デビュー間近に…

 ところが、小山駅でのきそば販売が2022年1月14日で終了になるという通知が急遽舞い込んだ。2021年11月のことである。JR東日本のグループ再編に伴い、駅そばの営業委託契約を終了するためとのこと。

「1月30日にデビューを予定していたキッチンカーでの販売が、結果的にきそばを復刻することになり大きく注目されたのは本当に偶然だった」と吉田さんは語る。

 そして1月30日、キッチンカー「小山のきそば号」による初めてのきそばの販売が栃木市平柳町の中沢製麺直売所前で行われた。大勢のファンが食べに訪れ、その盛況ぶりがニュースになった。

「家族連れやおばあさんや子供たちがおいしいといって食べているのを見て、本当によかったと思う。今日もお客さんに20年ぶりの懐かしい味をありがとうといわれて、涙が出るくらい感慨深かった」と吉田さん。とにかく地域愛に溢れた人間である。