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 が、六代目山口組側に焦りはないらしい。

「髙山若頭は100対0で勝利するつもり。本部をはじめ事務所の使用禁止は手痛いが、その程度で妥協する気はない」(友好団体の幹部)

 徹底交戦の姿勢は崩していないとはいえ、神戸山口組が組織を解散するなら、命の保証を与えるなど相応の譲歩はする気だという。

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窮地に立たされる井上組長

 神戸山口組の井上組長とて丸裸ではない。山口組分裂当時、神戸のスポンサー筋から多額の献金を受けており軍資金はある。組員だって残っている。捨て身の攻撃に報いるならヒットマン志願は見つかる。しかし、小手先の対策では意味がない。

「手打ちの時期はすでに逸している。交渉したところで時間稼ぎにしかならない。結論を先延ばしにするだけなら、若い衆に道をつけて引退してやるのが親心」(独立団体幹部)

 髙山若頭が持病を抱えていることもあり、井上組長らは六代目側の主要メンバーの寿命が尽きるのを待って籠城する気なのかもしれない。暴力団は「親分は絶対」という論理を悪用し、絶対君主制を敷いて好き勝手に若い衆をいじめ抜いてきた。神戸山口組を襲った自壊は、どの暴力団でも起こり得る。第二の中田組長候補は至るところに息を潜めている。

 だが、六代目山口組は層が厚い。

 六代目山口組の中核団体である弘道会は、分裂抗争を経験し、自身が先頭に立って報復して組織力を着実に伸ばしている。支配層が亡くなれば山口組が再分裂する可能性もゼロではない……と期待しても、弘道会には三代目である竹内照明会長もいるし、野内正博若頭もいる。

「外野は弘道会内部に不協和音が鳴っていると騒ぐが、次代を継ぐのは竹内会長しかいない。野内組などは、切り崩した相手を大勢吸収していても線を引いているはず。派閥はどこにだってある。その程度の問題でしかない」(山口組の親睦団体)

 悠長に決着を延ばし続ければ、山口組は容赦なくさらなる攻撃を仕掛けてくるはずである。実際、その後も六代目山口組は神戸山口組を揺さぶり続けている。