食事やデート、ときには肉体関係を持つことで、男性から金銭を受け取る女性が「パパ活女子」と呼ばれるようになって久しい。一方で、40歳を超えてパパ活に励む女性が意外にも多いことはあまり知られていないのではないだろうか。足元を見られ、男性から限界まで値切りをされることも珍しくない“中年パパ活女子”たち……。彼女たちが抱える苦悩とは。
ここでは、“新時代の日本の聖域”をテーマにした書籍『日本のタブー3.0』(宝島社新書)の一部を抜粋。ノンフィクション作家の中村淳彦氏が行った中年パパ活女子への取材のもようを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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富裕層が集まる街に住む中年パパ活女子
「旦那が生活費を一切くれなくて、本当にお金がない。それにDVもひどくて」
数時間前にパパ活サイトで知り合った越川希美さん(仮名、40歳)に、「じゃあ豊洲に来てください」と呼び出された。豊洲は東京の富裕層が集まる地域で、豊洲在住のマダムたちはキャナリーゼと呼ばれる。指定されたカフェに行くと、薄幸そうな後ろ姿の子連れの中年女性がいた。声をかけるとその女性が希美さんだった。
子どもは落ち着きがなく、ずっと母親に絡んでいる。雄星くん(仮名、6歳)は地元の幼稚園の年長さんらしい。
「パパ活って普通にテレビでやっているじゃないですか。だから、パパ活がいいかなって。年齢も年齢だから本番しますよ。いくらでも本番する。パパ活って検索するとお薦めサイトみたいなのがあって、とりあえず一番人気のサイトに登録した感じ。軽いノリです」
夫は工場の工員、東京湾沿いにある京浜工業地帯で働いている。希美さんは専業主婦で、旦那が家計を握っている。自分で使えるお金がまったくないという。現状、銀行口座にある預金も5000円未満、ゼロに等しい。
「旦那が私に一切お金をくれないから、旦那が働いて子どもが幼稚園に行っている間に稼ぎたい。最初はパパ活とか売春じゃなくて、近くのお店で短い時間働いて、来年小学校だから学童に預けて本格的に仕事しようと思っていたの。今は学童じゃなくてキッズっていうけど。でも、コロナの影響でちゃんと働いている人じゃないと預けられなくなっちゃった。だからパパ活しかないかなって」