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「ステーキ200グラムより、おにぎり1個のほうが太ります」糖尿病専門医が語る“脂肪を食べても太ることはない”驚きの理由

『糖質中毒 痩せられない本当の理由』より #3

2022/02/19

source : 文春新書

genre : ライフ, ライフスタイル, 医療, ヘルス

note

炭水化物を食べている限りは痩せられない

 私たちは、体にどのくらいの脂肪を溜め込んでいるのでしょうか。

 たとえば、体重70キロの男性だと、約14キロの白色脂肪細胞を有しています。そして、その脂肪細胞のほとんどが「脂肪滴」と呼ばれる形のトリアシルグリセロールで占められています。核や細胞質は脂肪滴によって細胞の一端に押しやられており、細胞そのものからして脂で太っているような状態なのが白色脂肪細胞です。

 14キロの脂肪は、だいたい80日分のエネルギー量に相当します。つまり、体重70キロの男性が糖質をまったく摂らなかったとしても、80日間はエネルギー不足になることなく生活していけるわけです。

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 しかも、この脂肪はブドウ糖がなくなったときのための貯蔵であり、すぐには使われません。人間は、まずブドウ糖をエネルギー源として用いるようにできています。ブドウ糖が足りなくなったときに、ようやく脂肪が使われるのです。

 だから、炭水化物をせっせと食べている限り、いつまでたっても脂肪をエネルギーとして燃やすことはできません。つまり、痩せられないのです。

 マラソン選手が試合前に炭水化物を摂るのは、ブドウ糖がすぐにエネルギーになってくれるからです。逆に言うと、マラソン選手でもない人が炭水化物をたくさん摂れば、使われないブドウ糖がトリアシルグリセロールとなって脂肪細胞に溜め込まれるだけ。パソコン仕事の多い現代人は、そもそもエネルギー不足になどなりません。